コレステロールが高いとは① LDLコレステロールとは
当医療法人のさわやかクリニックでは健康診断の繁忙期
ということもあり日々多くの受診者様の採血を行います
その採血項目の中でよく異常値として引っかかることが多く
問い合わせが入ることが多い項目です
コレステロールとは
コレステロールは血液の血清中に存在する脂質の成分です。
動物性脂肪に多く含まれていてステロイドという生命を維持
するホルモンの原材料でもあります。
このステロイドから男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモン
副腎皮質ホルモンなどの大切なホルモンが作られています。
コレステロールはあなたを男らしく
または女らしくすることにも一役かっています。
またコレステロールをもとにして消化管での脂肪の吸収に働く胆汁酸という消化液も作られています。
コレステロールは、なくてはならない大切なからだの成分でもあるわけです。
正常なコレステロール値とは
糖質と一緒でひたすらコレステロール値を下げればいいというものではありません。
なのでストイックに食事制限をがんばって無理やりコレステロール値を下げようとすることが必ずしも健康になるとはいいきれません。
厳密にいえば年齢・性別によっても必要なコレステロールの量が違います
コレステロールは生まれてからだんだん増加して男性では40歳代が最も高くその後は漸減傾向を示しますが、
女性では閉経後急速に増加し60歳代で最も高くなりその後漸減します。
男性と女性では、ピークの年齢が異なります。
女性ホルモンのエストロゲンという物質の関与が考えられています。
LDLコレステロールとHDLコレステロールとは
コレステロールは脂質なので水には溶けません。
そこでコレステロールはタンパク質と結合してリポ蛋白という水に溶けやすい
かたちをつくって血中に溶けています。
このリポ蛋白の粒子の重さが軽いものを低比重リポ蛋白(LDL=low-density lipoprotein)、
重いものを高比重リポ蛋白(HDL=high-density lipoprotein)と呼んでいます。
このうちHDLは体内で余剰となっているコレステロールを体外へ排出するのに関係しています。
いわゆる善玉コレステロールと言われているやつです。
HDLの作用により組織で不要となった遊離型コレステロールはエステル型に変えられ
肝臓で処理され余分なコレステロールが処理されてなくなります。
このコレステロールが多いと体からたくさんの余分なコレステロールがでていくわけです。
HDLが高値であるほうが心筋梗塞などの心臓の血管が詰まる疾患のリスクが低下することが知られています。
そのためHDLのことを善玉コレステロールと言うわけです。
それに対してLDLは細胞へどんどんコレステロールを送る働きをしています。
LDLが多いとからだにコレステロールがどんどんたまって血管が硬くなり(動脈硬化)なってしまいます。
そのためこれを悪玉コレステロールとよんでいます。
当院の採血データでは
①HDLコレステロール
- 正常 40~119mg/dL
- 注意 30~39mg/dL
- 受診 0~29 mg/dL, 120~mg/dL
②LDLコレステロール
- 正常 60~119mg/dL
- 経過観察 120~139mg/dL
- 注意 0~59 mg/dL ,140~179mg/dL
- 受診 180~mg/dL
としています。
つまり単純に言うと
- HDLコレステロールが高い⇒心疾患になりにくい
- LDLコレステロールが高い⇒心疾患になりやすい
という理解でよいと思います
LDLコレステロールが高いと言われたら
さてでは高コレステロール(LDLコレステロールが高い)
という診断結果がでてしまったらどうしたらよいのでしょうか
だいたいどこの医療機関を受診してもまず言われることは決まっていて
生活習慣の見直し、つまり食生活の改善ですね
その方法として「コレステロール摂取制限」が大切だとされてきました。
ですが実際食生活を変えろといわれてもかなり難しいですよね
現代に生きる社会人では飲み会もありますし、様々なイベントもあります。
家庭内で育ちざかりの子どもがいる場合自分だけ仙人飯のような食事ばかり
できませんよね。
実質的に「コレステロール摂取制限」が必要だと分かっていてもなかなか実践
するのは難しいのが現状ではないでしょうか
ところがこの考え方は最近変わってきています。
コレステロールを沢山摂取しても、厳しく制限しても、肝臓で合成され血液中に放出される
LDLコレステロールの量には影響しないというのです。
従って、LDLコレステロールをきちんと下げるには、薬が必要で、
肝臓でのLDLコレステロール合成を抑制するスタチンという薬剤が有効です。
また、「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLコレステロールには、
動脈壁に入り込んだLDLコレステロールを取り除く働きがあるので、
HDLコレステロールを増やすことによって、LDLコレステロール低減と同等の効果が得られます。
運動でHDLコレステロールは増加しますので、やはり運動は大切ですね。
しかしやはりいきなり薬を内服と言われても抵抗がありますよね
そのためまず運動、下がらなければ薬とういスタンスでよいと思います。
厳しい食事制限を課すのは現代人において不可能に近いですが、運動程度なら
なんとか時間を作って行えないこともないです。
当院でもこのLDL値はかなり重要視していて健診でこの数値が最も重要といっても
過言ではないほどです。LDL値を毎年きちんと追っていけばかなりの確率で
心疾患を予防できます。是非毎年のLDLコレステロール値を注意しておいてください。
今回はコレステロール値の話でした。