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頚椎椎間板ヘルニアとは(原因・症状・診断検査・治療法など)

頚椎・腰椎疾患について 2019.07.04更新

梅林猛
医療法人メディカルフロンティアでは脊椎手術に特化した東京脊椎クリニックを運営しています。施設責任者である梅林猛医師監修の下、脊椎疾患や手術術式についても寄稿していきます。
梅林 猛
東京脊椎クリニック院長
日本脳神経外科学会専門医
日本脊髄学会指導医

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さて今回は第2回目「頸椎椎間板ヘルニア」についてです。

前回、腰椎椎間板ヘルニアについて(腰椎椎間板ヘルニアとは)詳しく説明しましたが椎間板ヘルニアという事で
病態は同じですが、症状、治療難易度がかなり違います。
頸部のところで脊髄を中に納めている骨は頚椎と呼ばれます。頚椎は全部で7つあり、
上から順に第一頚椎、第二頚椎と名付けられます。各頚椎間には椎間板と呼ばれる組織があります。

頚椎椎間板
この椎間板は上下の頚椎を連結しており、ある程度の弾力がありますが、
この椎間板の組織がこわれて脊髄や神経根が急激に圧迫されるようことがあります。
これが、頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれるものです。

原因

椎間板が飛び出してくる原因の一つとして、老化現象による椎間板機能の低下が挙げられます。
頚椎の間にある椎間板は常に圧力のかかる状態にあるので、
組織の中で最も早く老化が起こるとされます。
そのため、劣化が進んで外側の膜に亀裂を起こし、中の髄核が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれなどの症状を引き起こすのです。

頸椎椎間板ヘルニア_原因

 

また最近はパソコンやスマートフォンなどの多用によって首がクレーンのように前にでている
クレーンネックが原因ともいわれ、今回の頸椎椎間板ヘルニアを含む様々な頸椎の障害
いわゆる頚椎症の原因ともなっていると言われており近年凄い勢いで増えていると言われています

症状

前回説明した腰椎椎間板ヘルニアとの大きな違いは脊髄が圧迫される
部位がちがうため症状の出るからだの部位が異なります
そして一番障害をうけると厄介なのが手の動きに障害を及ぼすという事です

大きく分けて二つのものがあります。

一側の肩や手の特定の領域に激しい痛みや放散痛が生じるタイプ

「しびれ」を生ずる場合もあります。
この場合には、最初の数日間は首の寝違いとよく似た鈍痛・違和感などの後頚部症状が認められ、
これに引き続き手や肩への激しい放散痛が生じることが一般的です。
この痛みは激烈なものですが、ほぼ2-3週間でピークを越え、あとには鈍い痛みやしびれが残り、
これが数週間から数ヶ月で軽快するという経過をとることが多いです。

・しびれから運動障害や下肢の障害まで起こすタイプ

両手の「しびれ」がみられたり、両手を使って行う細かい動作
(箸を使う動作・ボタンをかける動作・ページをめくる動作など:巧緻運動)
が徐々に出来にくくなったり、両足が足先から段々としびれてきたり、
歩行がなんとなく不自由になるなどの症状が数日から数週間の経過で急速に進行するものです。

頸椎椎間板ヘルニアの初期症状

初期段階では、首もしくは肩などに違和感や鈍痛を覚えるところから始まります。
安静にしていれば消失する程度の症状で、ここで医師の指示にしたがっていれば1週間から8週間程度で症状は改善に向かいます。

頸椎椎間板ヘルニアの中期症状

中期の段階では、痛みやしびれなどが生じてきます。
鈍痛からはっきりとした痛みに変わったり、しびれを併発するなど物理的な障害を感じるようになります。
治療期間は初期と同じく1週間から8週間程度となりますが、どの程度で治療を止めるかについては人それぞれの状態にもよります。
痛み止めなどを服用しつつ、リハビリテーションで治療を行ったり、安静にする期間を長くして様子を見るといった治療方法がとられます。

頸椎椎間板ヘルニアの後期症状

後期に入ると、いよいよ痛みやしびれの程度が増し、手術による治療が必要となります。
この段階になると首を動かすこともスムーズではなくなり、一刻も早い治療が必要と判断されます。
2週間程度の入院を行い、その間に患部の手術および治療を行います。
薬物療法とリハビリテーションを組み合わせて行うのが一般的ですが、予後にも配慮しなければなりません。
退院後も定期的に病院に通い、様子を見ながら治療を行いますので、トータルでの治療期間は数ヶ月から1年程度に及ぶこともあります。

診断・検査

X線(レントゲン)撮影、脊髄造影、CT、MRIなどが行われます。
ただしレントゲンでは微妙な椎間板の状態がわからないためMRI検査が一番確実な検査です。
逆に言えばMRIがない施設では腰椎椎間板ヘルニアであると確定診断はできない事になります
当院に完備しています。

治療

一般的には、一側上肢へと放散する痛みのみ場合には、保存的療法や安静により軽快することが多いです。
しかし、麻痺や筋肉の萎縮を伴った場合や、両側の手や足の症状が見られる場合には、症状の進行も早く、
その程度が高度のものであれば、出来るだけ早い時期に手術的療法を検討する必要があります。

保存治療

症状として上肢への放散痛が主たるものでは、いわゆる保存療法と呼ばれる治療法を行うことを原則とします。
保存的療法としては、頚椎牽引療法・頚部カラー固定・頚部のマッサージなどの理学的療法などがあります。
ただし、これらの療法により症状が悪化することもあり得ますので、十分な観察のもとに行う必要があります。
頚椎カラーは有用なこともありますが、この装具を長期間使用していると頚部の筋肉が萎縮してしまい、
かえって長期にわたる頚部痛が残ることもありますので、漫然とした使用は避けるべきです。
数日間、頚椎カラーを装着して症状が和らぐことが確認できれば、4~8週間装着します。
痛みの程度が強い場合には、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤などが用いられます。
「しびれ」や巧緻運動障害が主な症状の場合には、ビタミンB剤が用いられます。
痛みの程度が強い場合には、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤などが用いられます。
「しびれ」や巧緻運動障害が主な症状の場合には、ビタミンB剤が用いられます。

神経ブロック

星状神経節ブロック

首にある交感神経の集まった部位に局所麻酔薬を注入します
交感神経の緊張を抑えることにより痛みの悪循を断ち切るとともに
局所の血行がよくなり抗炎症効果により痛みが軽減します

腕神経叢ブロック

鎖骨の少し上に細い針で局所麻酔し、首・肩・腕につながる神経の
束が集まっている部位の周囲に麻酔薬を注入する治療です
神経には直接あてないので痛みも少なくX線画像をみながら行います。

神経根ブロック(ルートブロック)

これらの治療でも神経の症状がしつこく残る場合は神経根ブロックを行います
X線透視下にて痛みを発生している神経根に直接麻酔薬を注入します。
頸椎の椎間板ヘルニアにより神経根が圧迫されて起こる痛みは神経の炎症を抑えれば
症状が治まる場合が多く、また腰椎に比べてかかる荷重が少ないので神経ブロック療法を
3カ月程度続けることで患者さまは治癒することが多くなっています。
ただ脊髄が主に圧迫されている場合神経ブロック療法の効果が少く
手術による治療が必要になることが多くなります。

手術療法

脊髄に対する圧迫を取り除き、頚椎を固定することが目的となります。
手術法としては、頚部の前から到達する方法(頚椎前方到達法)が原則として行われます。
この手術は、全身麻酔下で、仰臥位(仰向けの姿勢)で行います。
頚部の右側(場合により左側)に皮膚切開を行い、気管と食道を正中に引き寄せながら頚椎の前面に到達し、
頚椎の一部を削り、脊髄の方へと進みます。
これらの手術操作は手術用顕微鏡下に慎重に行われます。
脊髄に対する圧迫を除去できたことを確認後、頚椎に出来た空間に、
腰骨からの骨や人工物(スペーサー)を挿入し、創部ドレナージと呼ばれる細い排液用の管を留置して手術を終えます。

その他症状、病態に合わせて以下の手術術式が選択されます。

  • 前方固定術
  • 内視鏡下ヘルニア摘出術(MED)
  • 顕微鏡下ヘルニア摘出術(MIS)
  • 椎体固定術

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