椎間板ヘルニアの内視鏡手術とは?PELD/PEDの治療方法、特徴をご紹介
院長監修記事
梅林 猛
東京脊椎クリニック院長/日本脳神経外科学会専門医/日本脊髄学会指導医
医療法人メディカルフロンティアでは脊椎手術に特化した医療施設(東京脊椎クリニック)を運営しています。その施設の責任者である梅林猛医師監修の下、脊椎疾患や手術術式についても寄稿していきます。
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【目次】
■内視鏡を用いた手術“PELD/PED”について
■内視鏡手術による腰痛治療のメリットをご紹介
■まとめ
椎間板ヘルニアになってしまった際に気になるのが手術についてではないでしょうか。
この記事では内視鏡を用いる椎間板ヘルニアの手術のひとつ、PELD/PED(ぺルド)についてご紹介したいと思います。
内視鏡を用いた手術“PELD/PED”について
内視鏡を用いた手術をご存じの方は多いと思いますが、椎間板ヘルニアと関わりの深いPELD/PEDという単語はご存じでしょうか? この項目では、PELD/PEDについてお伝えしたいと思います。
●適用される症状
椎間板ヘルニアは 背骨の腰付近にある腰椎の中にあるクッション材の役割を果たす椎間板に亀裂が生じ、椎間板の内側にある髄核という組織が漏れて神経を圧迫する病気です。
10代から40代など、幅広い年代の方に発症のリスクがあり、長時間座っていたり、重いものを持つときに椎間板ヘルニアが発症する方が多いです。
腰痛や、お尻、脚のしびれや痛みが主な症状です。
・椎間板ヘルニアに適応される手術
椎間板ヘルニアに適応される手術は、内視鏡下手術やレーザー治療、切開手術、神経ブロック療法など多岐にわたります。
それぞれ局所麻酔か全身麻酔か、入院日数や有効率などに違いがありどの手術を受けるべきか悩んでいる方も多いと感じます。
●PELD/PEDとは?手術の流れと特徴を紹介
・手術概要
PELD/PED(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)は僅か7mmほどの筒(針)を炎症部分に直接刺しこむため、骨や筋組織を傷つけずに手術することが可能です。
患者様はうつぶせの姿勢で手術を受けていきます。
ヘルニアの出ている場所、大きさなどを考慮し、内視鏡を入れ、生理食塩水で潅流しながら、鉗子やラジオ波バイポーラを用いて手術を行います。
PELD/PEDの場合、筒の先端部分に内視鏡が付いているため、手術の際は炎症の確認がしやすく、安全に行うことができます。
内視鏡用の鉗子を用いてヘルニアを除去後、皮膚を縫合し、手術は終了します。
椎間板ヘルニアの中では、最もリスクの少ない手術法です。
・特徴
従来の手術は、背中の皮膚の切開し、脊椎からヘルニアを摘出するという内容でした。
視野の確保のため、骨を削って行うこともあります。
その後、MED(内視鏡下手術)が日本に導入され、椎間板ヘルニアの著名な手術の一つとなります。
PELD/PLDと類似点が多く、筒を炎症部分へ刺し込む手術で、1.6cmほどの筒の中で手術器具を扱い、骨や筋組織を傷めずに手術をすることが可能でした。
そして、MEDの1.6cmの筒からPELD/PLDは7mmほどの筒(針)になり、より安全面に考慮されています。
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内視鏡手術による腰痛治療のメリットをご紹介
PELD/PLDの特徴は理解しても、他の手術と比較してどのようなメリットがあるのか知りたい方に向けて、この項目では、内視鏡手術のメリットをご紹介したいと思います。
●傷跡が小さく目だない
特徴の項目で述べられたように、PELD/PLDの良いところは、筒(針)の細さです。
MEDは、PELD/PLDと比較しても1.6cmと筒が大きいため、筒を挿入する際に同程度の切開を行いますが、PELD/PLDの場合は、7mm程度の切開になるため、MEDよりも傷跡が小さくなります。
●従来の治療が効かなかった人でも有効
椎間板ヘルニア治療にあたり、神経ブロック療法や鎮痛剤の服用などで治療を行っていて、効果をあまり実感できなかった方もいるのではないでしょうか。
PELD/PLDは、内視鏡用の鉗子を使って炎症部分を直接取り除くので、一時的に痛みを抑える上記の治療よりも、効果を実感することができます。
●早期社会復帰が可能
従来の手術やMEDと比較して手術時間が20~40分程度と少なく、術後の経過によって異なりますが、日帰りで手術を受けることが可能で、術後になるべく早く社会復帰や活動をしたいという方にはオススメです。
また、椎間板ヘルニアが再発してしまった場合でも骨を削るなどのリスクもなく、繰り返し手術を行うことも可能です。
※ この手術は局所麻酔での施術が可能で、日帰りしていただくこともできますが、当院ではリスクと患者様の苦痛を考慮し、内視鏡手術においても全身麻酔を推奨しています。
●リスクが少ない
PELD/PLDは他の治療法に比べて、手術を行う針が小さいため、他の器官への影響も抑えることができ、合併症や感染症などのリスクが少ないのも特徴です。
主なリスクは、術後の切開部分の血腫による痛みや、感染、髄膜炎などが挙げられます。
しかし、PELD/PLDはリスクが少ないかわりに、医師の技術力が求められるため、手術を受けられる病院が少ないというデメリットがあります。
★脊椎内視鏡手術とは 経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(PED)について
まとめ
高い技術力の求められるPELD/PLDの手術ですが、顕微鏡よりも細やかな部分を確認することができるため、椎間板ヘルニアの患者様にとって有効な手術となっています。
他の手術と比較しても安全で、早期社会復帰が可能というポイントは大きいです。
また、椎間板ヘルニアは誰もがなり得る病気です。
椎間板ヘルニアの症状と合致するような痛みやしびれを覚えた場合は、1人で悩まずに、まずは医師に相談するようにしましょう。
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