非特異的腰痛症とは(原因・診断・治療など)
医療法人メディカルフロンティアでは脊椎手術に特化した医療施設(東京脊椎クリニック)を運営しています。その施設の責任者である梅林猛医師監修の下、脊椎疾患や手術術式についても寄稿していきます。
梅林 猛
東京脊椎クリニック院長
日本脳神経外科学会専門医
日本脊髄学会指導医
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さて今回は当院理学療法士の観点からみた「非特異的腰痛症」について詳しく解説します。
みなさんは、「非特異的腰痛症」という言葉を聞いたことがありますか?ここ最近は、テレビや書籍でも目にすることが増えてきて、知っている方もいるかもしれませんが、今回は「非特異的腰痛症」についてお話ししたいと思います。
1.非特異的腰痛症とは
非特異的腰痛症とは「腰背部の痛みを呈し、腰部に起因するが下肢に神経根や馬尾由来の症状を含まないもの」と定義されています。(背部痛 理学療法診療ガイドラインより)わかりやすくいうと、神経症状(神経痛、しびれ、感覚異常、麻痺など)の症状や、馬尾症状(尿閉や尿・便失禁、性機能障害、お尻周りのしびれや火照り)などの症状のない腰痛のことです。
腰痛は、生涯で成人の約80%の人が経験するといわれています。そのうちの約85%の腰痛が非特異的腰痛症といわれています(表1)。非特異的腰痛症は、画像診断と症状が一致しないため、原因の特定が難しい腰痛です。そのため慢性化しやすく、結果的に難治性となりやすい腰痛です。
表1
2. 痛み(腰痛)が慢性化しやすくなる原因
慢性化する原因として、2007年に恐怖-回避モデル(fear-avoidance model)の悪循環が報告されています(表2)。これは、痛みの経験(ぎっくり腰など)に、レントゲンなどの検査画像上の異常所見の過度な強調や、過激な強迫的な情報(もう治らない、生涯付き合っていかなければならない)などが加わることで、症状に対して悪い感情を与えていきます。これにより、悲観的な解釈をすることで痛みに対しての不安や恐怖感を助長してしまい、過剰な回避行動をとらせてしまいます。この過剰な回避行動が、身体の機能異常を生じさせたり、抑うつ傾向を強めたりして、さらに痛みに対しての不安や恐怖感を高めてしまいます。これが恐怖-回避モデルの悪循環となってしまいます。
この悪循環を回避・改善するためには、まずは正しい情報を提示していくことが必要となります。正しい情報を提示することで、過剰な不安や恐怖感を取り除き、痛みに対する楽観的な対応(正しい思考や行動)をとれるようになり、回復に向かう経過をたどることができるようになっていきます。
これらのことから、腰痛の治療で大切なことは、初回の介入時に正しい情報と対処方法をいかに指導出来るかということになります。
表2
3. 腰痛治療の臨床ガイドライン
腰痛の治療は、世界各国でエビデンスに基づいた腰痛治療ガイドラインが推奨されています。世界の腰痛診療ガイドラインでは、①生命を脅かすような重篤な病態や緊急を要する疾患があるか(Red flags)、②神経根症状があるか、③非特異的腰痛症か、の3種類の診断のトリアージを推奨しています(表3)。日本のガイドラインでも、正確な診断を提示するためには3種類の診断のトリアージをすることが重要とされています。
1つ目は「Red flags sign」です。すなわち重篤な疾患の可能性がある腰痛のことです。例えば、明らかな外傷歴、原因不明の体重減少、発症年齢が20歳以下または55歳以上、神経学的症状を呈する患者さんが当てはまります。20歳以下の場合は、先天的奇形や若年期に発症することの多い疾患が疑われます。55歳以上の場合は、悪性腫瘍や骨折、神経疾患(帯状疱疹など)、血管系疾患(大動脈解離など)、内臓疾患(腸管穿孔など)が疑われることがあります。
2つ目は「Green light」です。非特異的腰痛症のことで、神経学的異常や器質的異常のない予後良好な腰痛を指しています。
3つ目は「Yellow flags sign」です。心理社会的な要因を含んだ腰痛のことを指します。この腰痛は、慢性腰痛、長期休暇、長期の活動性低下へと移行する可能性があります。
表3
4.非特異的腰痛症の治療
非特異的腰痛症のガイドラインでは、①急性期・亜急性期、②慢性期、の2つにわけてアプローチ方法を推奨しています(表4)。
急性期・亜急性期では、腰痛の予後は良いということをわかりやすく伝えることで安心をさせて、過剰な安静を薦めないようにすることを推奨しています。
慢性期では、心理社会的な要因が腰痛の原因の主体となるので、運動療法(インナーマッスルといわれる脊椎を安定させる筋肉の強化)や認知行動療法、リエゾン療法(心と体の両面から治療を行う方法)が推奨されています。
腰痛の自然治癒の経過には、心理的問題(いわゆるストレス)が大きく影響することが報告されています。日常生活における心理的、環境的なストレスを減らしていくことも、腰痛治療には効果的と言われています。
表4
5.正確な診断やアドバイスを受けましょう
非特異的腰痛症は、正確な診断をすることはとても難しいことだと思います。「非特異的腰痛症だと思って治療をしていたら、実は違っていてRed flagsだった」なんていうこともしばしば起こります。腰痛を評価するうえで必要なことは、問診、視診、様々な検査(反射、筋力、レントゲンやMRIなどの画像診断など)、疼痛誘発テスト、運動テストなどを総合して見ていく必要があります。最近はテレビなどで健康番組が連日放送されていて、いろいろな情報を得ることができます。情報が得られることはいいことですが、一部の情報だけに頼りきってしまうのは危険な場合もありますので、気をつけましょう。
6.東京脊椎クリニックでできること
当院では、脊椎疾患専門の医師による診断を行なっております。レントゲンやMRI、CTなどの検査はもちろん、専門の医師による詳しい問診や検査をおこなうことで正確な診断をし、ひとりひとりわかりやすく説明するように日々心がけております。「なかなか腰痛が治らない」「いろんな治療をしているけどあっているのか心配」など、今の病状が気になる方は、一度立ち寄ってみてください。一緒に症状を治していきましょう!
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