健診でなぜ腹囲を測定するのか、メタボリックシンドロームとは
2008年4月より始まった「特定健診・特定保健指導」においては、
腹囲の測定は「へそ周り」を頂点として行われており日本国においては
- 男性の場合は85cm以上
- 女性の場合は90cm以上
この基準をもって「内臓脂肪過多」と判定されます。
つまり腹囲の大きさは内臓脂肪の多さを反映していると考えられています。
そしてこの基準がメタボリックシンドロームの基準と考えられていたのですが
この基準だけでは個人差が非常に大きく腹囲が大きくても内臓脂肪は少ない
パターン、もしくはその逆もあり、2018年度からさらに詳しい検査結果の
基準が追加されました
メタボリックシンドロームとは
最近メタボとかメタボ健診と良く騒がれていますが具体的には
単純に太っている、とか体脂肪が多いという事だけではないのです
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪症候群とも呼ばれています。
メタボリック(metabolic)とは「代謝」、シンドローム(syndrome)とは「症候群」を意味しています。
内臓脂肪の高い状態に高血圧・高血糖・脂肪の代謝異常が加わった状態のことで、
この状態が続くと心臓病・脳卒中などの動脈硬化性疾患が起きやすくなるとされています。
日々の食事や運動量の低下などにともなって、エネルギー過剰な状態が続くと、
体内にそのエネルギーが徐々に脂肪として蓄積されます。
特に内臓(腸間膜や肝臓など)に蓄積した脂肪は、皮下脂肪に比べて血液中に放出されやすく、
動脈硬化を進行させる原因の一つであり、高血圧などの要因がかさなるとさらに心臓病や脳卒中などのリスクを増加させます。
メタボリックシンドローム状態にある人のほとんどは自覚症状がありません。
自覚症状がないために動脈硬化が静かに進みます。動脈は本来とても柔らかいものですが、血液中の糖やコレステロールの値が高くなると血液の流れが悪くなり(ドロドロになる)血管の壁にコレステロールが張り付きます。
それによって動脈の壁に柔軟性がなくなり、徐々に硬くなる状態を動脈硬化といいます。
動脈硬化が進行するとやがて脳卒中や心筋梗塞を引き起こし、そのまま命を失ったり、
助かっても介護や長期間のリハビリが必要な状態になることも少なくありません。
こうした特徴から、動脈硬化はしばしば「沈黙の殺人者」「サイレント・キラー」と呼ばれています。
診断基準
単に腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上であるだけではメタボリックシンドロームとは診断されません。
必須項目
- 男性の場合は85cm以上
- 女性の場合は90cm以上
必須項目に加えて、以下の条件のうち2つを満たしている
血清コレステロール値
-
- 血清トリグリセリド150mg/dl以上
-
- かつ/または
- HDLコレステロール40mg/dl未満
血圧
-
- 収縮期(最大)血圧が130mmHg以上
-
- かつ/または
- 拡張期(最小)血圧が85mmHg以上
血糖値
- 空腹時高血糖値が110mg/dl以上
これを満たすとメタボリックシンドロームと判定されます。
原因
当然消費エネルギーより摂取エネルギーのほうが多ければ脂肪として体内へ蓄積され
飢餓などに対し備えようとする生理的な反応が起こります
また最近では脂肪の多い食事が原因というよりはやはり糖質過多が原因と言われる
ようになりました。
糖質は、たんぱく質や脂質に比べ、摂取した際の血糖値の上昇が急激であるという点が特徴です。
血糖値が急に上がると、それを抑えるためにホルモンの1つである「インスリン」が多く分泌されることになります。
インスリンには、血液中に存在している糖分を脂肪細胞に取り込むよう促す働きがあります。
インスリンが多く分泌されるということは、血液中の余った糖分を脂肪に引き込み、
体脂肪が蓄積されることに繋がってしまうという事です
治療と予防
メタボリックシンドロームは、動脈硬化から心筋梗塞たや脳卒中といった重篤な病気につながるリスクがあります。
そのため、健康診断や一般診療でメタボリックシンドロームと診断された場合以下のような対症が大切です
・体脂肪を減らす
これは言うまでもありませんが適度な運動と食事の見直しです
実際運動は善玉コレステロールであるHDLコレステロール増加させまら動脈硬化の予防になります
また体脂肪を体内に蓄積させないために低糖質食も推奨されます。これは炭水化物をある程度抑えると
いった無理のない程度で行うとよいでしょう。ただし脳は糖質をエネルギー源としているため
糖質の供給がなくなると大脳を委縮させる可能性があり、記憶力
・注意力の低下につながる可能性が高く、過度な糖質制限は危険です。
適度に行うのが効果的です
・生じうる病気を予防する
結局のところLDLコレステロールを下げる事と血圧を正常なにコントロールすること
につきます。
これらの値を正常にコントロールすることで心筋梗塞や脳卒中はある程度予防できます
前回のブログでも書きましたがやはり薬物によるコントロール(高コレステロール薬や降圧剤)
の早期内服は重要で治療開始が遅れれば遅れるほど、コントロールに難渋します
早めの治療開始をが重要です。
また体重を低下させることも関節や脊椎に対する負担をへらし、将来的な変性疾患になることを予防できます。