未分類

CPAP療法実際の治療とは

以前の記事CPAP!劇団ひとり いびき治療 「毎月1回必ず病院に行かなきゃいけない」と告白「毎月4000円払い続けなきゃ」

にてCPAPの概要についてご紹介しました。

今回はさらに実際のCPAP治療について詳しく解説していきます。

CPAP療法の導入と管理

1. 睡眠の悩みの自覚と初期受診

疑わしい症状が認められた場合耳鼻咽喉科や呼吸器内科、あるいは睡眠外来などを受診します。
担当医師医師に相談し、スクリーニング検査を行います。
疑わしい症状が認められると、自宅での簡易検査または入院による終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査で睡眠状態を評価します。


これは一晩かけて行う精密な検査で、患者が寝ている間の呼吸状態、脳波、筋電図、心電図、眼球運動、血中酸素飽和度などを詳細にモニタリングします。
これにより、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI=Apnea Hypopnea Index)が算出され、睡眠時無呼吸症候群の重症度が数値的に評価されます。


2.診断と治療方針の決定

検査結果と症状をもとに、医師がCPAPの適応を判断します。その際には、ただ数値だけでなく、
「患者がどれだけ日常生活に支障を感じているか」や「他に適応可能な治療法がないか」といった視点も考慮されます。
適応が決定されると、患者ごとの顔の形状や呼吸の特性、鼻づまりの有無などを確認しながら、最も適した**マスクタイプ(鼻マスク・フルフェイス・鼻腔挿入型など)**が選ばれます。
また、空気圧の初期設定(cmH₂O)もこの段階で仮決定され、使用中に自動調整する「オートCPAP」タイプを選択することもあります。
医師による診断後、CPAP療法が適応と判断された場合、治療開始へ。

3. 試用と慣らしの期間(トライアル導入)

CPAPは、導入初期に“試用期間”を設けるのが一般的です。装置をレンタルするかたちで自宅に持ち帰り、実際の生活環境下で使用してもらいます。
この段階では、患者自身がマスクの装着感、送られてくる空気の圧、機械音などに慣れることが主な目的です。
慣れるまでに1〜2週間かかることもあり、不快感がある場合は医療機関との連携のもと、マスクの再調整や機器の
設定変更が随時行われます。
このトライアル段階がスムーズにいくかどうかが、治療継続の鍵となるため、ここでのフォローアップは非常に重要です。

4. 本格導入と長期管理

試用期間中に十分な効果が確認され、患者自身も継続可能と判断すれば、本格的な導入へと移行します。
装置はレンタル契約または医療機関との提携で貸与される形式が多く、保険適用される場合は月額数千円程度の自己負担で済むことが一般的です。
導入後も、定期的に医療機関でのフォローアップが続きます。
多くのCPAP装置は使用データ(使用時間、漏れ率、AHI、マスク圧など)を自動記録し、クラウド経由で医師が確認できるようになっています。
医師はこれらのデータを元に、必要に応じてマスクの交換、空気圧の調整、加湿器の有無の見直しなどを行いなら、患者の“眠りの質”を常に最適化していきます。

保険適用と費用面

CPAP療法は日本の医療保険制度において保険適用の治療であり、毎月の医療機関通院が前提です。
機器レンタル料と診察料を含め、自己負担額は月3,000〜5,000円程度(3割負担)で装置の購入は行わず、原則レンタルで提供されます(故障時の対応も含まれる)

長期的な使用で得られる健康効果

CPAPは“続けてこそ効果がある治療”です。長期間にわたって使用することで以下の効果が蓄積されることが分かっています。心血管疾患の発症リスク低下やうつ病・不安障害の改善認知機能の保持・認知症リスクの低下、体重減少のサポート(睡眠改善による代謝改善)などがあります。

CPAPが合わないケースと代替治療

すべての患者がCPAPに適応するわけではありません。強い閉所恐怖症や装着アレルギー鼻閉が重度で十分な空気流が得られない、単純にいびきだけであったり、軽症〜中等症でCPAPを必要としないと判断された場合。こういった方はそもそも保険診療においCPAPを導入することはできません。

CPAPが合わない場合の代替治療

治療法 特徴 向いている患者
スリープスプリント(口腔内装置) 下顎を前方へ移動させ気道を広げる装置。保険適用。 軽症〜中等症
体位療法(仰向け防止) いびき体位センサー等を使用 仰向けで悪化するタイプ
舌筋トレーニング(MFT) 舌根沈下を改善する運動療法 舌の筋力が弱い方
レーザー治療(DDT療法等) 咽頭粘膜のコラーゲンを活性化し気道を広げる CPAP拒否・軽中等症
外科手術(UPPP、RAUPなど) 気道を狭める組織を切除 構造的狭窄
薬物療法(鼻炎治療) 鼻づまり改善 アレルギー性鼻炎併発

CPAP治療が必要かどうかの判断方法

まずは医療機関で検査を受けることが重要です。

一般的な流れ

  1. 問診・日中の眠気評価(ESSなど)

  2. 簡易睡眠検査

  3. 必要なら入院型の終夜ポリソムノグラフィー(PSG)

  4. 結果説明・治療方針決定

  5. 条件を満たせばCPAP導入

症状の強さは自覚症状だけでは判断できないため、早めの検査が推奨されます。

まとめ

  • CPAPは睡眠時無呼吸症候群の 標準治療

  • 保険適用で月3,000〜5,000円程度と費用負担が少ない

  • 買う必要はなく 原則レンタル

  • 継続使用が最も重要

  • CPAPが合わない人には 複数の代替治療選択肢 がある

CPAPは「一晩で劇的改善」という即効性より、“毎日コツコツ続けることで体と脳の健康を守る治療” です。
しかし解説したように適応が限られることや、基本的にはいびきや無呼吸を根本治療しているわけではなく、基本的には一生続きます。しかし最近では治療法が進化し、CPAPを離脱できる方もでてくるようになりました。いびきや日中の眠気、集中力低下、血圧が高いなどの症状がある方は、早めに専門クリニックへ相談してください。