最新いびきレーザー治療:Dual Deep Thermiaとは
いびき治療の地図は、ここ十数年で大きく塗り替えられました。最重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)にはCPAPが確立した標準治療ですが、軽症〜中等症、あるいは「とにかく切るのは避けたい」「日中も仕事がありダウンタイムは困る」という患者のニーズに、外科と保存的治療のあいだを埋める非侵襲的なレーザー治療が登場しました。
いびき治療の分野において、近年注目を集めている非侵襲的レーザー治療(Dual Deep Thermia)です。
簡単に説明すると、のど(上気道)の粘膜をやさしく加熱してコラーゲンを収縮・再生させ、空気の通り道を“内側から”整えます。治療室のドアを閉めて30分後、患者はふつうに声を出し、水を飲んで帰路につく。そんな気軽さと、臨床的な改善の両立がこの治療の魅力です。
レーザー治療と聞くとレーザーで気道を焼き切る怖いイメージがありますが全く異なります。
このレーザー治療の優れているところは気道表面は全く傷つけずに気道を広げる事ができるという事です。そのため痛みもほぼなく、治療当日から普通に食事もとれるという優れた治療法です。
外科手術や機械装着(CPAP)を避けたい患者さんにとって、年齢や体調にも左右されにくい新しい治療法として注目されています。いびきに悩むすべての方へ有力な選択肢となりうる技術です。
今回と次回に分けてでは、Dual Deep Thermiaの治療原理、効果、手順、対象患者、安全性、他の治療法との比較などを多角的に掘り下げて解説します。
この記事の目次
切らずに「のど」を引き締める—Dual Deep Thermiaという選択
口腔咽頭領域にある軟口蓋、口蓋垂、咽頭後壁、舌などの粘膜組織をレーザー照射することで、コラーゲン繊維の収縮と再構築を促し、組織の引き締めと弛緩改善を目指す点にあります。
その結果、気道が広がり、いびきの主因である粘膜の振動が軽減されます。
Dual Deep Thermiaは2種類の波長を用いたレーザー治療です。
具体的にはEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザーとNd:YAG(ネオジムヤグ)レーザーを用いたソフトレーザーです。
Er:YAG(エルビウムヤグ)

Er:YAGレーザーは2940nm赤外線レーザーで水に非常によく吸収され、粘膜表層で熱がすばやく立ち上がる一方、組織深部への余計なダメージは最小限に抑えられる。Dual Deep Thermiaでは独自のSMOOTH®モードという発振様式を用い、表皮を焦がさない程度のサブアブレイティブ(非蒸散)加熱を断続的に与えます。
Nd:YAG(ネオジムヤグ)レーザー

Nd:YAG(ネオジムヤグ)レーザーはさらに深部まで熱を届けることで、筋肉や粘膜を強くし、温度均一化や舌根側のタイトニング、血流改善や代謝促進作用により長期的な改善を促します。
つまり、いくら軽くたるんだ粘膜でも、中からしっかりと組織の回復と再構築をサポートします。

この2つのレーザを併用することでこれにより、浅層から深層にわたる粘膜および結合組織のリモデリングが可能となり、従来の1波長のみのレーザー治療より短期と長期の両方の効果が期待できる高い治療効果が期待されます。
施術中は「温かい」と感じる程度で施術後すぐに日常生活に戻れる点が最大のメリットです。
Dual Deep Thermia治療はどのような人にむくのか
Dual Deep Thermiaはいびき主体、あるいは軽症〜中等症のOSAで、上気道の主な閉塞部位が軟口蓋〜口蓋垂、咽頭側壁にあるタイプに相性がよいです。
以下の症状がある方は治療対象になります。
(1)いびきの状態
- 毎晩いびきをかき、家族に指摘される
- いびきで睡眠が浅く、朝起きても疲れが取れない
- 自分のいびきで目が覚めることがある
(2) 軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸は「呼吸が10秒以上止まる」ことを1時間あたり何回起きるかで重症度を分けます。
軽症:5〜15回
中等症:15〜30回
重症:30回以上
Dual Deep Thermiaは特に軽症〜中等症に有効とされています。
重症の場合はCPAP(持続陽圧呼吸療法)が第一選択ですが、「CPAPが合わない」
「マスクをどうしても使いたくない」という方であれば、Dual NightLaseを補助的に行うこともあります。
(3) 外科手術を避けたい方
従来の口蓋垂軟口蓋咽頭形成術は侵襲が大きく、痛みや合併症のリスクがあります。
入院が必要な場合も多くまとまった休を取ることか難し方には
Dual Deep Thermiaは「切らない・縫わない・出血しない」治療なので、手術に抵抗がある方に適しています。
(4) マウスピース(スリープスプリント)が合わない方
顎関節症がある、装着時に違和感が強い、就寝中に外れてしまうなど
こうした理由で装具が続けられない方には、Dual Deep Thermiaが代替手段となります。
(5) CPAPが続けられない方
睡眠中ずっとマスクを装着しているため、敏感な方で装置の装着感がつらい、音が気になる等
さらに出張などが多く外泊が多い方で持ち運びが不便など
日常的に不都合を感じる方
CPAPが第一選択である重症SAS患者でも、Dual Deep Thermiaを組み合わせることで
「マスク圧を下げられる」「眠りやすくなる」というケースが報告されています。
(6) 生活改善だけでは効果が不十分な方
減量・禁酒・禁煙などで改善するケースは多いですが、習慣を続けるのは難しいこともあります。
痩せればいびきも治るよという事を様々な書籍や専門家が謳っていますが、この「痩せる」ということ
がご存じと通り簡単ではなくさらにその痩せた状態をキープ続けることは非常に難しいい事です。
そうした方にDual Deep Thermiaは「生活習慣改善+医療的サポート」という形で併用することで
早期にいびき改善へもっていくことが可能となります。
不向きなケース(適応外):
(1) 重度の睡眠時無呼吸
1時間に30回以上の無呼吸がある場合は、Dual Deep Thermia単独では効果が不十分です。
この場合はCPAPが第一選択であり、Dual Deep Thermiaは補助的に使用することで軽度~中等度
へもっていくことは十分可能と考えられます。
(2) 口蓋扁桃やアデノイドが極端に大きい方
構造的に物理的な閉塞がある場合、レーザーだけで十分に気道を広げられない可能性があります。
手術の適応になることがあります。
(3) 重度の肥満
BMIが35を超えるような高度肥満では、首周囲の脂肪で気道が圧迫され、レーザーだけでは改善が難しい
ことがあります。まずは減量が優先されます。ただこちらも同様にDual Deep Thermiaを併用することで
より改善速度を速めることが可能です。また医療的ダイエット(後述)を併用することでよりその効果
を高めることができます。
(4) 特殊な基礎疾患を持つ方
出血傾向のある病気、強いのどの炎症や感染症がある場合、妊娠中の方(安全性データ不足のため慎重に判断)
こうした方は適応から外れることがあります。
まとめ
今回はは、Dual Deep Thermiaを「切らずにのどを引き締める」現代的ないびき治療として位置づけ、原理・対象・限界を整理しました。次回以降は、効果の見込み、具体的手順、安全性、他治療(CPAP・マウスピース・手術・生活習慣改善)との比較を多角的に深掘りしていきます。
記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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