夜の悪夢~僕の全ては奪われた~⑩幹細胞移植
母の目に光がこもっている「大丈夫だからね」は久々に見たと思う
とどのつまり僕は実験段階による治療を受ける事になったのだ
しかし期待を持たせないようにするためか、決して治るとは
言われず新しい治療をはじめるとい事だけを知らされた。
そのことで幼かった僕は新しい治療に非常に恐怖を覚え
痛いことをされるのではないか、という恐怖ばかりで
再びパニックとなった。しかし担当の医師は優しく注射で
お薬を入れるだけだから大丈夫だよ。
痛い手術したりはしないから約束だ
と諭された。
不思議とその言葉を信じてしまう僕であった。
その新しい治療とは「幹細胞移植」といものであった。
具体的には後に知ることになるのだが、自分の血液を取り出し
培養施設で幹細胞を取り出して培養しそれを再び僕の体の戻す
ことで損傷してしまった脊髄が修復されるというものであった。
その当時その治療は治験(実験段階)であり正式に認可された
治療ではなかったのだが、一縷の望みに両親は賭けたのであった・・・
*この物語はフィクションであり実際の人物、団体とは一切関係ありません。