いびき治療にマンジャロは有効か?糖尿病薬「マンジャロ」でダイエット、副作用の恐れも 専門家は警鐘

マンジャロの種類

いびきの原因となる肥満ですが、最近持続性GIP/GLP-1受容体作動薬である「マンジャロ」を使用したダイエット法が話題です。

そのような中日本経済新聞社よりこのような記事がありました。

糖尿病薬「マンジャロ」でダイエット、副作用の恐れも 専門家は警鐘

糖尿病の治療薬として承認された薬をダイエット目的で利用する人が増えつつある。全額自己負担となる自由診療での処方は違法ではないものの、需要が高まれば糖尿病患者など本来必要な人が薬を入手できなくなる恐れがある。副作用のリスクもあり、日本医師会など専門家は安易な使用に注意を呼びかける。

日本経済新聞社

実際肥満に対するマンジャロ治療においてその安全性と効果など詳しく解説します。

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マンジャロとは

マンジャロ(Mounjaro)はチルゼパチドというGIP/GLP-1受容体作動薬で、日本では主に「2型糖尿病治療薬」として承認されています(2025年時点)。肥満症単独や「美容的ダイエット目的」での使用は、日本では保険適用外であり、原則適応外使用(自費診療)の扱いになります。

主な作用:

  • 食欲抑制(中枢作用)

  • 胃排出遅延

  • インスリン分泌促進・血糖改善

  • その結果として顕著な体重減少(10〜20%超の減量も珍しくない)

この「強力な減量効果」が、いびき・睡眠時無呼吸と結びついてきます。

いびきと肥満・睡眠時無呼吸の関係

いびきの多く、とくに問題となるタイプは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)にあります。

  • 肥満により咽頭周囲脂肪が増加

  • 舌根沈下・上気道狭窄

  • 仰臥位・筋弛緩で空気の通り道が狭くなり、いびき〜無呼吸へ

疫学的にも、

  • 体重10%増加 → AHI(無呼吸低呼吸指数)が約30%以上悪化

  • 逆に体重10%減少 → AHI約25%前後改善
    など、体重とOSA重症度は強く相関することが示されています。

したがって「肥満+いびき(+日中眠気など)」の場合、「減量=治療の根幹」であり、ここにマンジャロが有効な場合が多いです

マンジャロの睡眠時無呼吸症候群に対する有効性

(1) 体重減少薬としてのエビデンス

SURMOUNT試験などで、マンジャロ(チルゼパチド)は

  • 約15〜20%前後の体重減少を達成

  • 継続投与で減量維持も可能

このレベルの減量は「いびき・睡眠時無呼吸症候群に効いて当然のインパクト」を持つ体重変化です。

(2) 睡眠時無呼吸症候群に対する直接エビデンス

ここが重要ポイントです。

2024年公表のSURMOUNT-OSA試験(チルゼパチド投与群 vs プラセボ)では、肥満を伴う中等度〜重度睡眠時無呼吸症候群患者において

  • AHI(無呼吸低呼吸指数)の有意な低下

  • 体重減少、低酸素負荷の減少、血圧・炎症マーカー改善

  • 睡眠関連QOLの改善

が示されました。

これを受けて米国FDAは2024年12月、同成分チルゼパチド製剤Zepboundを「肥満を伴う中等度〜重度睡眠時無呼吸症候群治療薬」として世界初承認しています。

つまり、

「チルゼパチドは、肥満に起因する睡眠時無呼吸症候群に対して、減量を介して睡眠時無呼吸とその関連症状(いびき含む)を改善し得る」ということが、薬剤レベルで公式に認められた」

と解釈できます。

GLP-1系・GIP/GLP-1薬全体を見ても、AHI改善の効果が報告されており、肥満による睡眠時無呼吸症候群に対する薬物療法の新しい選択肢として位置づけられつつあります。

「いびき」単独に対してマンジャロは有効か?

では睡眠時無呼吸症候群を伴わないいびきのみに対してはマンジャロが有効かどうか解説します。

有効が期待できるケース

前提:

  • 肥満(特にBMI≧30前後、内臓脂肪型)

  • 明らかなOSA(中等度以上)または強く疑う症状:
    大きないびき、呼吸停止観察、日中眠気、高血圧など

このような患者では、

  1. マンジャロ/チルゼパチドにより体重が大きく減る

  2. 咽頭〜舌根周囲の脂肪減少、上気道コンプライアンスの改善

  3. AHI低下 → 無呼吸減少 → いびき音の減少・軽快

という合理的メカニズム+臨床試験データが既に存在します。

したがって、

  • 「肥満+OSA疑い」の人において、適応のある形でチルゼパチドを用いることは、いびき改善にも寄与し得る

  • 特にCPAPがどうしても続かない肥満OSA症例などで、「減量を通じた治療」として検討価値がある

というレベルまでは、エビデンスベースで言えます。

効果が期待しづらい、または推奨されないケース

逆に、以下のようなケースではマンジャロを「いびき目的」で使う根拠は乏しい or 不適切です。

  1. 非肥満~やや肥満で、単純いびきのみ

    • 上気道形態(顎の小ささ、鼻閉、副鼻腔炎、口蓋垂や扁桃肥大など)が主因の場合、薬剤による減量効果は限定的。

  2. 日本での適応外乱用

    • 「いびきを治したいから」「痩せたいから」という理由のみで、適切な診断・管理なしに投与するのは、医療倫理的・法的に問題。

  3. 短期間“だけ”打ってイベント前に痩せたい等

    • 中止後に体重再増加し、いびきも再燃する可能性が高い(継続戦略不在)。

結論として、

マンジャロは「肥満+OSA型いびき」の一部患者で、有効な選択肢となり得るが、「細身だけどいびきがうるさい人」のための薬ではない。という事になります。

マンジャロの副作用とリスク

代表的な副作用:

  • 胃腸障害:悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛(頻度高)

  • 低血糖:特にSU薬・インスリン併用時

  • 急性膵炎、胆石・胆嚢炎:腹痛出現時は要精査

  • 脱水・電解質異常

  • 急激な体重減少に伴う筋量低下(サルコペニア)や栄養障害

  • 妊娠・授乳中の使用制限

  • アナフィラキシーショック

しかし急性膵炎を除き一般的にどの薬剤でも起こり得る副作用であり、特段重篤な副作用が無いようにも感じます

急性膵炎は確かにインスリン制御関係での特有な副作用と考えられますが、頻度はそれほど多くないようです。

副作用に関して最も臨床上多いのは、便秘と悪心(胃のムカつき)が多いように感じます。これは作用とも関連していてマンジャロは食物の消化速度がゆっくりになります。そこから生じた腸の動きが遅くなり便秘を伴う事と胃の停滞時間が長くなるためと思われます。ただしこの副作用は食欲抑制を促す上でも役立っているのです。

使用方法

主に2.5㎎製剤から開始します。1週間の効果があります。安定したら5.0mg製剤へアップし1週間使用します。

ダイエット目的の場合は程度にもよりますが、2.5㎎製剤を1か月程使用すれば、5kg程度の減量が可能です。

ただしこれは個人差があるので、一つの目安としてお考えください。

 

まとめ

実際に私が使用したり、当院でも患者様へ処方したり、している中で明らかに、この薬剤は今までの内服薬とは違うキレの良さを実感しています。知人の臨床医に聞いてもマンジャロは「良く効くね」といった意見が大半です。過度なダイエット目的への使用は私も否定的ですが、糖尿病に限らず肥満に伴う何らかの症状(いびき、無呼吸、高血圧、等)を併発している場合は低用量で使用するのは、副作用と天秤にかけても十分に使用価値のほうが勝っていると思われます。

確かに日本国においては糖尿病のみにしか保険適応されていません。しかし、自費であっても睡眠時無呼吸症候群の重大なリスクである肥満にマンジャロを使用することは間違いではなく、今後肥満に伴う疾患を予防できる点からも、予防医学の観点からも有用であると考えます。

ただマンジャロ単体で痩せようとすることは危険です。やはり食生活や運動との組み合わせが最も効果的で安全な使用方法であることは言うまでもありません。

いびきに伴う肥満にお悩みのお方は是非医療機関を受診してみてください。

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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷和之

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之

2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務

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