CPAPでお腹が張る・ガスが溜まる原因は?「呑気症」のメカニズムと対策を医師が解説【上野いびきクリニック】
CPAPを使い始めてから「なんだかお腹が張る」「ゲップやおならが増えた」と感じたことはありませんか。夜中に苦しくて目が覚めてしまう方や、「このままCPAPを続けて大丈夫なのか」と不安になる方も少なくありません。
結論から言うと、これは「呑気症(どんきしょう)」または「エアロファジア」と呼ばれる、CPAP治療でよく見られる副作用の一つです。CPAPから送られる空気そのものが直接お腹に溜まっているわけではなく、無意識のうちに空気を飲み込んでしまうことが主な原因とされています。多くの場合、圧力設定やマスクの見直し、寝る姿勢の工夫で改善が期待できます。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、CPAP使用中に起こる腹部膨満感・ガスだまりのメカニズムから、ご自身でできる対策、クリニックで調整できることまで詳しく解説します。
結論:この記事の要点
CPAP使用中の腹部膨満感・ガスだまりは、「呑気症(エアロファジア)」と呼ばれる状態で、CPAPユーザーの16〜50%程度が経験するとされる、決して珍しくない副作用です。主な原因は、圧力によって送られた空気の一部が、気道ではなく食道・胃の方へ流れ込んでしまうこと。圧力設定が高い、口が開いて口呼吸になっている、仰向けで顎が引けた姿勢で寝ているといった状態で起こりやすくなります。多くは横向き寝への変更、マスクの見直し、圧力調整(EPR機能やAPAPの活用)で改善しますが、症状が続く場合は自己判断でCPAPを中止せず、医療機関に相談してください。
上野いびきクリニックでは、CPAPの圧力設定やマスクフィッティングの見直しなど、使用中の不快な症状に関するご相談も承っています。
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院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、CPAP治療でよく見られる副作用の一つである腹部膨満感(呑気症)について、メカニズムと対策を解説しています。
上野いびきクリニックでは、CPAP治療中に起こる不快な症状のご相談にも対応し、圧力設定やマスクの見直しなど、快適に治療を継続できるようサポートしています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:無呼吸の重症度を客観的に評価
- CPAP治療:圧力設定やマスクの調整含め継続サポート
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:3回・6回・12回のコースをご用意
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※CPAPの圧力設定変更には医師の判断が必要です。不快な症状が続く場合は、自己判断で使用を中止せず、まずはご相談ください。
📋 この記事でわかること
- CPAPでお腹が張る・ガスが溜まるのは「呑気症」
- なぜ空気を飲み込んでしまうのか|メカニズムを解説
- 呑気症が起こりやすい人の特徴
- 自分でできる対策
- クリニックで調整できること
- 参考文献・出典
CPAPでお腹が張る・ガスが溜まるのは「呑気症」

結論から言うと、CPAP使用中のお腹の張りやガスだまりは、「呑気症(どんきしょう)」または「エアロファジア(aerophagia)」と呼ばれる状態です。国内外の報告では、CPAPユーザーのおよそ16〜50%がこの症状を経験するとされており、CPAP治療の中では比較的よく見られる副作用の一つです。
誤解されがちですが、CPAPが送り込む空気がそのままお腹に流れ込んでいるわけではありません。正しくは、眠っている間に無意識のうちに空気を飲み込んでしまい、その空気が胃や腸に溜まることで、腹部膨満感・ゲップ・おならの増加といった症状が起こります。
呑気症そのものは、CPAP治療をやめなければならないほど危険な症状ではありません。
ただし、苦しくて眠れない、CPAPの装着自体が続けられないというレベルまで症状が強い場合は、圧力設定やマスクの見直しが必要なサインです。
なぜ空気を飲み込んでしまうのか|メカニズムを解説
通常、鼻から送られた空気は気道を通って肺へ流れ込みます。しかし、いくつかの条件が重なると、この空気の一部が食道の方へそれてしまい、胃へと入り込んでしまいます。
| 要因 | 空気を飲み込みやすくなる理由 |
|---|---|
| 食道括約筋のはたらき | 胃の入り口にある下部食道括約筋は、本来ある程度の圧力がかかると自然にゆるみ、空気を逃がす仕組みを持っています。この反射がうまく働かないと、空気が胃に溜まりやすくなります |
| 圧力設定が高い | 送られる空気の量・勢いが強いほど、気道側で吐ききれなかった空気が食道側へ流れ込みやすくなります |
| 口が開いている(口呼吸) | 鼻マスクを使用していても口が開いていると空気が漏れやすくなり、圧力を補うために設定圧が上がる、あるいは口からも空気を飲み込みやすくなります |
| 仰向け・顎が引けた姿勢 | 枕が高すぎるなどで顎が胸に近づく姿勢になると気道が狭くなり、空気が本来の通り道である気道よりも食道側へ流れやすくなります |
| マスクの空気漏れ | マスクのフィット不良で空気が漏れると、それを補うために圧力が上がりやすく、結果的に呑気症のリスクも高まります |
なお、海外の研究では、呑気症のある方は逆流性食道炎(GERD)を合併している割合が高い(呑気症グループで約77%、非該当グループで約36%という報告もある)ことが示されており、下部食道括約筋そのものの機能低下が関わっている可能性も指摘されています。
呑気症が起こりやすい人の特徴

次のような特徴に当てはまる方は、比較的呑気症が起こりやすいとされています。
・CPAPを使い始めたばかりで、まだ圧力に体が慣れていない
・治療に必要な圧力設定が比較的高い
・口呼吸の習慣がある、または鼻づまりで口が開きやすい
・仰向けで寝ることが多い
・逆流性食道炎(GERD)の既往がある
・就寝前に炭酸飲料やアルコール、カフェインを摂ることが多い
複数当てはまる方ほど、症状を自覚しやすい傾向があります。ただし、これらに当てはまらなくても呑気症が起こることはあり、個人差が大きい症状です。
自分でできる対策
医療機関の調整を待たずに、ご自身で試せる対策もいくつかあります。
| 対策 | ポイント |
|---|---|
| 横向きで寝る | 仰向けより気道が確保されやすく、空気を飲み込みにくくなります。抱き枕やクッションの活用がおすすめです |
| 枕の高さを見直す | 顎が引けすぎない高さに調整し、気道がまっすぐ確保される姿勢を意識します |
| 口を閉じる工夫をする | チンストラップ(顎を支えるベルト)や口テープの活用で、口呼吸による空気漏れ・飲み込みを防ぎます |
| 就寝前の飲食を見直す | 炭酸飲料、カフェイン、アルコール、就寝直前の食事は下部食道括約筋を緩めたり空気を飲み込みやすくするため控えめにします |
| マスクのフィット状態を確認する | サイズが合っていなかったり劣化していたりすると空気漏れが起こりやすくなります。定期的な点検・交換も有効です |
クリニックで調整できること

セルフケアで改善しない場合は、医療機関での調整が有効です。自己判断で圧力設定を変更したり、CPAPの使用を中止したりせず、まずはご相談ください。
呼気圧軽減機能(EPR等)の活用:息を吐くときだけ圧力をやや下げる機能を強めることで、空気を吐き出しやすくなります
APAP(自動調整式)への変更:睡眠中の状態に応じて圧力を自動調整するため、必要以上に高い圧力がかかり続けるのを防げる場合があります
マスクタイプの見直し:鼻マスクへの変更や、フィット感の異なるマスクへの切り替えで改善することがあります
圧力設定そのものの再評価:治療効果を保ちながら、無理のない圧力設定に調整できないか検討します
なお、圧力を下げすぎると無呼吸の治療効果が不十分になる可能性があるため、治療効果と快適さのバランスを見ながら医師が調整することが大切です。
参考文献・出典
- Sleep Foundation「Aerophagia: Symptoms, Causes, and Treatment」
- SleepApnea.org「Aerophagia (Air Swallowing): Causes and Treatment」
- Sleep Review「Aerophagia Primer」(下部食道括約筋機能と逆流性食道炎合併率に関するデータを含む)
- 神戸きしだクリニック「CPAP使用中の不快な副作用 – 対処法と調整のポイント」
- 睡眠時無呼吸なおそう.com「CPAP治療により起こりうる症状」
※本記事は上記文献をもとにした一般的な医学解説です。症状の程度や対処法は個人差があるため、実際の圧力設定変更やマスクの見直しは医療機関にご相談ください。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。CPAP治療中に生じる腹部膨満感やガスだまりなどの不快な症状についても、圧力設定やマスクフィッティングの見直しを含めてご相談いただけます。
「お腹の張りが気になって、CPAPをつけるのが億劫になってきた」という方も、我慢せずにご相談ください。治療を無理なく継続できる方法を一緒に探します。
まとめ|お腹の張りは「呑気症」、我慢せず相談を
CPAP使用中の腹部膨満感やガスだまりの多くは、無意識に空気を飲み込んでしまう「呑気症」が原因です。圧力設定、マスクフィット、寝る姿勢、口呼吸などが関係しており、横向き寝への変更やマスクの見直しといったセルフケアで改善することも少なくありません。
症状が続いて治療の継続が難しいと感じる場合は、自己判断でCPAPをやめてしまう前に、圧力設定やマスクの調整について医療機関に相談しましょう。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.CPAPを使うとなぜお腹が張るのですか?
CPAPから送られる空気の一部が、無意識のうちに気道ではなく食道・胃の方へ飲み込まれてしまうためです。これは「呑気症(エアロファジア)」と呼ばれる、CPAP治療でよく見られる症状です。
Q.CPAPでおならが増えた気がします。大丈夫でしょうか?
呑気症によって飲み込んだ空気が腸に溜まり、おならとして出やすくなることがあります。多くは治療上問題のない範囲ですが、症状が強い場合はマスクや圧力設定の見直しで改善することがあります。
Q.腹部膨満感が治らない場合はどうすればいいですか?
横向き寝への変更や枕の高さ調整、就寝前の飲食の見直しなどを試しても改善しない場合は、自己判断でCPAPを中止せず、圧力設定やマスクの調整について医療機関に相談してください。
Q.圧力を自分で下げてもいいですか?
圧力を下げすぎると無呼吸の治療効果が不十分になる可能性があるため、自己判断での変更はおすすめできません。治療効果とのバランスを見ながら、医師の判断のもとで調整することが大切です。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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