CPAPのマスクというと、顔の半分を覆う大きなものを想像する方が多いのではないでしょうか。「閉じ込められるようで苦手」「メガネをかけたまま使えない」といった理由で、CPAPを続けるのが難しいと感じる方もいらっしゃいます。
実は、CPAPのマスクには、鼻の穴の入り口に小さなクッションを当てるだけの「ピロータイプ」や、鼻の穴には入れず鼻の下に当てるタイプなど、顔に触れる面積がごく小さいものもあります。一方で、ピロータイプには「口が開くと空気が漏れる」といった注意点もあります。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、ピロータイプ2機種(AirFit P10・ドリームウェア シリコンピロー)、鼻の穴に入れないAirFit N30、口まで覆うのに鼻筋に当たらないドリームウェア フルフェイスの特徴と選び方を解説します。
結論:この記事の要点
CPAPマスクには、顔の半分を覆う大きなものだけでなく、鼻の穴の入り口に小さなクッションを当てる「ネーザルピロー」があります。代表は、レスメドのAirFit P10(チューブが顔の前)と、フィリップスのドリームウェア シリコンピロー(チューブが頭のてっぺん)です。顔に触れる面積が小さく圧迫感が少ない一方、口が開くと空気が漏れて効果が下がることがあるのが最大の注意点です。鼻の穴に入れたくない方には、クッションを鼻の下に当てるAirFit N30(クレードル型)があります。口呼吸の方には、鼻筋に当たらないドリームウェア フルフェイスも選択肢ですが、磁石を使用しているため、ペースメーカー等をお使いの方は事前に相談が必要です。どれが合うかは顔の形や寝方で変わるため、仰向けと横向きの両方で試着し、睡眠中のデータを見ながら決めます。
上野いびきクリニックでは、保険診療での睡眠検査とCPAP管理に対応しています。マスクが合わない場合のご相談もお受けしています。
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院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、ピロータイプをはじめとするCPAPマスクの特徴と選び方について解説しています。
上野いびきクリニックでは、簡易検査・PSG検査の結果を医師が丁寧に読み解き、CPAPのマスク選びや調整のご相談にも対応しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査:自宅でできる無呼吸のスクリーニング
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※掲載したマスクの仕様はメーカー公表情報にもとづきます。国内で取り扱いのある機種・サイズは、通院先や事業者によって異なります。
📋 この記事でわかること
- CPAPマスクの種類|ピロー・クレードル・鼻マスク・フルフェイス
- ネーザルピローとは?鼻の穴の「入り口」に当てるタイプ
- ピロータイプ2機種を比較|AirFit P10とドリームウェア シリコンピロー
- 鼻の穴に入れたくない方へ|AirFit N30
- 口まで覆うのに鼻筋はノータッチ|ドリームウェア フルフェイス
- 自分に合うマスクの選び方|お悩み別の目安
CPAPマスクの種類|ピロー・クレードル・鼻マスク・フルフェイス
CPAPのマスクというと、顔の半分を覆う大きなものを想像する方が多いかもしれません。しかし実際には、顔に触れる面積がごく小さいタイプもあります。大きく分けると、次の4つです。
| タイプ | 当たる場所 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ネーザルピロー | 鼻の穴の入り口 | 顔に触れる面積が最小。視界を妨げにくい | 口が開くと空気が漏れやすい。鼻が刺激されることがある |
| クレードル型(例:AirFit N30) | 鼻の下(鼻の穴には入れない) | 鼻の付け根に当たらず、鼻の穴にも入れない | 口が開くと空気が漏れやすい。鼻の幅に合うサイズが必要 |
| 鼻マスク(ネーザルマスク) | 鼻全体を覆う | 安定して密着しやすい。圧が高めの方でも使いやすい | 口が開くと漏れる。鼻の付け根に跡が残ることがある |
| フルフェイスマスク | 鼻と口を覆う | 口呼吸の方や、鼻が詰まりやすい方に向く | 大きく、圧迫感を感じやすい。メガネと併用しにくいものもある |
マスクの基本的な種類は、以前の動画「CPAPマスク5種類の比較」でも解説しています。この記事では、その続きとして顔に触れる面積が小さいタイプを、詳しく見ていきます。なお、取り扱いのあるマスクの種類は、通院先や事業者によって異なります。
ネーザルピローとは?|鼻の穴の「入り口」に当てるタイプ
ピロー(pillow)は、英語で「枕」。小さなクッションが、鼻の穴の入り口にふわっと乗って空気を送り込みます。鼻の奥まで差し込むものではありません。
顔に触れる面積がもっとも小さいため、一般に次のような方に選ばれやすいとされています。
| こんな方に | 理由 |
|---|---|
| 圧迫感が苦手、閉所恐怖症ぎみの方 | 顔を覆う面積が小さい |
| メガネをかけて、寝る前に本やスマホを見たい方 | 視界を妨げにくい |
| ひげがあり、大きなマスクだと漏れやすい方 | 口まわりを覆わないため、ひげの影響を受けにくい |
| 寝返りが多い方 | 軽量で、ずれにくいものが多い(機種による) |
ピローの最大の注意点|口が開くと空気が漏れます
ピローは鼻から空気を入れるため、寝ている間に口が開く方は、口から空気が抜けてしまう可能性があります。そうなると、治療の効果が下がることがあります。口呼吸の傾向がある方には、あご用のバンド(チンストラップ)の併用や、フルフェイスマスクへの変更を検討します。どれが合うかは、睡眠中のデータ(漏れの量など)を見ながら、一緒に決めていきます。
このほか、鼻の穴が刺激されたり、乾燥しやすかったりする方もいます。鼻づまりが強い場合は、マスクを強く締めるのではなく、鼻の状態そのものを確認することが大切です。サイズが合わないと漏れの原因にもなるため、試着は、仰向けと横向きの両方で、実際に処方された圧をかけた状態で行うのがおすすめです(座った状態で問題なくても、寝返りで漏れることがあります)。
ピロータイプ2機種を比較|AirFit P10とドリームウェア シリコンピロー

当院で実際に装着して比べた、代表的なピロータイプ2機種です。違いは、チューブが顔の前か、頭の上かに尽きます。
| 比較ポイント | AirFit P10 | ドリームウェア シリコンピロー |
|---|---|---|
| メーカー | レスメド | フィリップス |
| チューブの位置 | 顔の前 | 頭のてっぺん |
| 付け方 | ゴーグルのように、頭からかぶるだけ | かぶって、頭頂でチューブを接続 |
| クッション | 鼻の穴に当てる小型クッション | 100%シリコンの柔らかいクッション |
| 得意な寝方 | 仰向け・横向き | 横向き・寝返りが多い方 |
| 強み | 部品が3つで簡単、静か | メガネ・スマホOK、ホースが邪魔になりにくい |
AirFit P10(レスメド):部品は「クッション」「フレーム+チューブ」「ヘッドギア」の3つだけです。クッションはサイズごとに色分け・記号で分かれ、左右の向きも決まっています。合わなければ、クッションだけサイズ交換できます。ヘッドギアは後頭部で上下に分かれたベルトで、頭の形に合わせて自然にフィットし、きつい場合は横のクリップで調整します。チューブが顔の前に来るため、仰向けや横向きの方に向いています。女性向けの小さめのバージョン(P10 For Her)もあります。
ドリームウェア シリコンピロー(フィリップス):チューブがつながるのは、顔の前ではなく頭のてっぺんです。空気は、左右のフレームの中を通って頬の横から鼻の下へ届きます。フレーム自体が空気の通り道になっているのが特徴です。クッションは100%シリコンで、とても柔らかく、横向き寝や寝返りが多い方、寝る前にスマホや本を見たい方に合いやすいタイプです。ただし、頭のてっぺんにチューブがある感覚は、慣れるまで少し不思議に感じるかもしれません。
仰向け中心でシンプルに使いたいならP10、寝返りが多い方や、寝る前にスマホを見たい方はドリームウェア、と考えると選びやすくなります。
鼻の穴に入れたくない方へ|AirFit N30(鼻の下に当てるタイプ)

「ピローは便利そうだけれど、鼻の穴に何かを当てるのは抵抗がある」という方に検討されるのが、レスメドのAirFit N30です。クッションを鼻の下に当てる「ネーザルクレードル(nasal cradle)」というタイプで、鼻の穴には入れず、鼻の付け根(鼻筋)にも当たりません。メーカーは「もっとも軽量なマスク」とうたっています。
| 項目 | AirFit N30(メーカー公表情報) |
|---|---|
| 当たる場所 | 鼻の下。鼻の穴には入れない |
| チューブの位置 | 顔の前(下向き) |
| 部品 | 3つ(フレーム、調整できるヘッドギア、クッション) |
| クッションのサイズ | S・M・SW(スモールワイド)の3種。鼻の幅に合わせて選ぶ |
| 重さ・音 | 約44g。排気は静かに拡散する設計(音響パワー25dBAと公表) |
| 圧の範囲 | 4〜20cmH₂O |
| 磁石 | なし |
向いている方:鼻の穴に何かを当てるのが苦手な方、鼻筋に跡が残るのが気になる方、ピローで鼻が刺激される・乾燥するという方などが、検討の対象になります。ピローより鼻の下を面で支えるため、鼻の穴に直接空気を当てる刺激が気になる方には合いやすい可能性があります。
注意点:クッションは鼻の幅に合わせて選ぶ必要があり、サイズが合わないと漏れの原因になります。また、ピローと同じく鼻から空気を入れるタイプなので、口が開く方は漏れやすく、チンストラップの併用やフルフェイスの検討が必要になる場合があります。上位モデルのAirFit N30iは、チューブが頭のてっぺんを通り、寝返りやうつぶせ寝でもチューブが絡みにくいとされています(磁石なし、圧の範囲は4〜25cmH₂Oと公表)。
ピロー型とN30(クレードル型)の違い
ピローは鼻の穴の入り口に当て、N30は鼻の下に当てます。どちらも鼻から空気を入れ、鼻筋に当たらないため圧迫感は少ない一方、口が開くと漏れる点は共通です。どちらが合うかは、鼻の形や幅、寝方、圧の強さで変わりますので、実際に当ててみるのがいちばんです。なお、ここで紹介した仕様はメーカー公表の情報で、国内で取り扱いのある機種・サイズは、通院先や事業者によって異なります。
口まで覆うのに鼻筋はノータッチ|ドリームウェア フルフェイス

口呼吸の方には、フルフェイスマスクが選択肢になります。ただし、一般的なフルフェイスは鼻全体を上から覆うため、鼻の付け根が赤くなったり、目の前に圧迫感が出たりすることがあります。
フィリップスのドリームウェア フルフェイスは、鼻の「下」と口だけを覆う設計で、鼻筋に当たらず、視界も開けています。メーカー公表の情報では、クッションは鼻の下に当たる面と口を覆う面から成り、チューブはシリコンピローと同じく頭のてっぺんにつながります。視界が開けているため、メガネをかけたり、寝る前に画面を見たりしやすいのが特徴です。圧の範囲は4〜30cmH₂Oと公表されています。
磁石が使われています。ペースメーカーなどをお使いの方は事前に相談を。
ドリームウェア フルフェイスは、ヘッドギアのクリップとフレームに磁石が使われています。メーカーは、ペースメーカー、除細動器、人工内耳などの医療機器をお使いの方は、使用前に医療従事者に相談し、磁石を機器から一定の距離(約50mm以上)離すよう案内しています。
口が開いてしまうけれどマスクの圧迫感は苦手、という方の選択肢になります。合う・合わないは顔の形によっても違うため、実際に当ててみて決めましょう。フレームが同じシリーズの鼻用クッションと共通で、クッションの付け替えで試しやすい点も特徴です。
自分に合うマスクの選び方|お悩み別の目安
| お悩み・希望 | 検討するタイプ |
|---|---|
| 仰向け中心で、シンプルに使いたい | AirFit P10 |
| 寝返りが多い、メガネ・スマホを使いたい | ドリームウェア シリコンピロー |
| 鼻の穴に入れるのが苦手 | AirFit N30(寝返りが多ければN30i) |
| 口が開く、でも圧迫感は苦手 | ドリームウェア フルフェイス(または、ピロー・N30+チンストラップ) |
| 鼻づまりが強い | 鼻の状態の確認とあわせて、フルフェイスも含めて相談 |
CPAPを続けられない理由で多いのが「マスクが合わない」ことです。合わないまま我慢したり、やめてしまったりする前に、マスクの変更をご相談ください。CPAPをやめたいと感じたときの考え方はCPAPをやめることについての解説記事、音が気になる場合はCPAPの音はうるさい?人気3機種の音を測定して比較、導入の基準はCPAP導入基準が大幅緩和|簡易検査AHI40→30、PSG検査20→15へをご覧ください。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。自宅でできる簡易検査と、保険診療のPSG検査(精密検査)に対応しており、CPAPの導入から、マスクの選び方や調整まで対応しています。
「CPAPのマスクが合わない」「圧迫感が苦手」「口が開いて漏れてしまう」という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ|マスクは種類が多い。合わないまま我慢せず、相談を
ピロータイプは、鼻の穴の入り口に小さなクッションを当てるため、圧迫感が少なく、視界も確保しやすいのが特徴です。仰向け中心でシンプルに使いたいならAirFit P10、寝返りが多い方やメガネ・スマホを使いたい方はドリームウェア シリコンピロー、鼻の穴に入れたくない方はAirFit N30、口が開くけれど圧迫感が苦手な方はドリームウェア フルフェイス、というのが選ぶときの目安です。
ただし、ピローやN30は口が開くと漏れやすく、フルフェイスは磁石を使うなど、それぞれ注意点があります。CPAPを続けられない理由で多いのが「マスクが合わない」ことです。合わないまま我慢したり、やめたりする前に、ぜひご相談ください。
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よくある質問
Q.ピローマスクは、鼻の穴の奥まで入れるのですか?
入れません。ピローのクッションは、鼻の穴の入り口にふわっと乗せて空気を送るもので、奥まで差し込むものではありません。
Q.ピローマスクは口呼吸でも使えますか?
寝ている間に口が開くと、口から空気が抜けて治療効果が下がることがあります。その場合は、あご用のバンドの併用や、フルフェイスマスクへの変更を検討します。睡眠中の漏れのデータを見ながら判断します。
Q.鼻の穴に入れるのが苦手な場合は、どのマスクがありますか?
クッションを鼻の下に当てる、AirFit N30のようなクレードル型があります。鼻の穴には入れず、鼻筋にも当たりません。ただし、口が開くと漏れやすい点はピローと同じです。取り扱いのある機種は通院先によって異なります。
Q.ドリームウェア フルフェイスに、注意することはありますか?
ヘッドギアのクリップとフレームに磁石が使われています。ペースメーカー、除細動器、人工内耳などの医療機器をお使いの方は、使用前に必ず医師へご相談ください。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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