ゲゲゲの鬼太郎水木しげる氏はCPAP使用で長生き 睡眠時間と寿命の関係|【上野いびきクリニック】
「水木しげる先生は長時間睡眠で93歳まで長生きしたが、手塚治虫先生や赤塚不二夫先生は4時間睡眠で若くして亡くなった」——漫画界ではよく語られる逸話です。実際、水木しげる氏は「寝ないと死ぬで」「睡眠力は幸福力ではないか」という名言を残し、1日10時間ほどの睡眠を大切にしていたことが知られています。
ただし、ここは正確にお伝えしておく必要があります。手塚治虫氏の死因は胃がん、赤塚不二夫氏の死因はアルコールが背景にあるとされる脳出血とその後の合併症であり、「睡眠時間が短かったことが直接の死因」と医学的に確定しているわけではありません。また、水木しげる氏がCPAPを使用していたことは比較的有名な事実です。
そのうえで——逸話を離れて科学的データだけを見ても、短い睡眠時間や睡眠時無呼吸症候群の放置が、心血管疾患のリスクや生存率に実際に影響することは、複数の研究で報告されています。この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、睡眠時間・無呼吸と生命予後の関係を、エビデンスに基づいて解説します。
結論:この記事の要点
「短時間睡眠だから早死にした」という単純な図式は、個々の著名人の実際の死因(胃がん、脳出血など)を考えると正確ではありません。しかし、科学的なデータとして、6時間未満の睡眠が続くと心血管疾患のリスクが約5倍に上昇するとの報告があり、睡眠時無呼吸症候群を放置した場合の8年後生存率は約60%にとどまる一方、CPAP治療を継続した場合は健常者とほぼ同水準(約95〜96%)まで回復するという比較データも報告されています。睡眠時間の長さそのものより、「無呼吸などによって睡眠の質が損なわれていないか」が、生命予後を左右する重要なポイントだと考えられます。
上野いびきクリニックでは、ご自身の睡眠の質・無呼吸の有無を確認したいという方の検査のご相談を承っています。
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菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、睡眠時間・睡眠の質と生命予後の関係について、データに基づいて解説しています。
上野いびきクリニックでは、ご自身の睡眠の質を客観的に確認できる検査から、無呼吸と診断された場合の治療まで対応しています。
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- 簡易検査・PSG検査:無呼吸の重症度を客観的に評価
- CPAP治療:中等症〜重症の無呼吸への標準治療
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※本記事で紹介する著名人のエピソードは、睡眠に対する考え方の一例としてご紹介するものであり、個々の病状や死因を医学的に断定するものではありません。
📋 この記事でわかること
- 「短時間睡眠で早死に」という逸話、実際の死因との違い
- 短い睡眠時間が健康に与える科学的な影響
- 睡眠時間の「長さ」より「質」が重要な理由
- 無呼吸を放置した場合の生存率データ
- CPAP治療でどこまで改善が期待できるか
「短時間睡眠で早死に」という逸話、実際の死因との違い

水木しげる氏(2015年に93歳で逝去)は、生前「寝ないと死ぬで」「睡眠力は幸福力ではないかと思っている」という言葉を残し、1日10時間ほどの睡眠を大切にする生活を送っていたことが広く知られています。実際の死因は多臓器不全で、高齢によるものとされています。
一方、手塚治虫氏(1989年に60歳で逝去)は多忙な連載を抱え、睡眠時間が4時間程度だったという逸話が有名ですが、実際の死因は胃がんです。赤塚不二夫氏(2008年に72歳で逝去)は2002年に、長年の飲酒習慣が背景にあるとされる脳出血で倒れ、その後長期の療養を経て亡くなっています。
つまり、「睡眠時間の短さが直接の死因だった」と医学的に言い切ることはできません。ただし、だからといって睡眠時間や睡眠の質が健康と無関係というわけでもありません。次の章からは、逸話ではなく統計データに基づいて、睡眠と健康リスクの関係を見ていきます。
短い睡眠時間が健康に与える科学的な影響
複数の研究が、睡眠時間の短さと様々な健康リスクとの関連を報告しています。
| 調査内容 | 結果 |
|---|---|
| 男性労働者2,282名・14年追跡 | 6時間未満の睡眠者は、7〜8時間睡眠者と比べ心血管疾患リスクが約4.95倍 |
| 約92万人規模の解析 | 睡眠時間6時間未満で死亡リスクが有意に上昇 |
| 男性労働者約4万人・7年追跡 | 睡眠時間5時間未満は肥満リスクが約1.13倍 |
なお、国内の大規模コホート研究(多目的コホート研究)では、7時間睡眠を基準にすると、10時間以上の長時間睡眠でも死亡リスクが男性で1.8倍、女性で1.7倍に上昇することが報告されており、「長く眠れば眠るほど良い」というわけでもない点には注意が必要です。睡眠時間には、短すぎても長すぎてもリスクが上がる「適量」があると考えられています。
睡眠時間の「長さ」より「質」が重要な理由
ここで注意したいのは、「睡眠時間」として記録される数字と、実際に脳と体が休まっている「睡眠の質」は、必ずしも一致しないという点です。睡眠時無呼吸症候群があると、布団に入っている時間(=記録上の睡眠時間)は十分でも、呼吸が止まるたびに脳が覚醒に近い状態になり、深い睡眠がほとんど取れていないことがあります。
つまり、短時間睡眠の人がすべて無呼吸というわけではありませんが、「睡眠時間は確保しているのに日中も眠い」という方の中には、無呼吸によって睡眠の質が損なわれているケースが少なくありません。健康リスクを考えるうえでは、睡眠時間の長さだけでなく、その睡眠がどれだけ「質の高い」ものであるかが重要になります。
無呼吸を放置した場合の生存率データ
睡眠の質を損なう代表的な病気である睡眠時無呼吸症候群について、放置した場合とCPAP治療を継続した場合の生存率を比較したデータがあります。
| グループ | 8年後の推定生存率 |
|---|---|
| 健常者 | 約96% |
| 無呼吸がありCPAP治療を継続 | 約95% |
| 重症の無呼吸を放置 | 約60% |
このデータが示すのは、「無呼吸という病気そのもの」が生存率に大きく影響するということです。重症度別の心血管疾患死亡リスクについても、軽症ではほぼ健常者と同程度である一方、重症(AHI30以上)では健常者の約5倍に達するとの報告があります。
「布団に入っている時間」だけでは、このリスクはわかりません。
無呼吸があるかどうかは、いびきの大きさや日中の眠気といった自覚症状だけで正確に判断することは難しく、専門的な検査が必要です。重症度を把握しないまま年数が経過することが、最もリスクの高い状態といえます。
ご自身の無呼吸の重症度、把握できていますか?
CPAP治療でどこまで改善が期待できるか

前述のデータが示す通り、重症の無呼吸であっても、CPAP治療を継続することで、生存率を健常者とほぼ同水準まで改善できる可能性があることが報告されています。これは、水木しげる氏の「睡眠力は幸福力」という言葉が、逸話としての正確性は別として、方向性としては的外れではないことを示すデータともいえます。
重要なのは、単に「長く眠る」ことではなく、無呼吸などによって睡眠が妨げられていないかを検査で確認し、必要な治療を続けることです。いびきや日中の眠気に心当たりがある方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。「睡眠時間は取れているはずなのに日中眠い」という方の、無呼吸の有無を確認する検査に対応しています。
ご自身の睡眠の質を一度客観的に確認してみたい方も、お気軽にご相談ください。
まとめ|大切なのは睡眠時間の長さより、質を確認すること
「短時間睡眠で早死にした」という逸話は、個々の実際の死因を見るとそのまま当てはめることはできません。しかし、短い睡眠時間が心血管疾患リスクを高めることや、無呼吸を放置した場合の生存率が大きく下がることは、データとして報告されています。
睡眠時間を確保しているつもりでも、無呼吸によって睡眠の質が損なわれているケースは少なくありません。気になる症状がある方は、一度検査でご自身の状態を確認してみることをおすすめします。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.短時間睡眠だと必ず早死にするのですか?
必ずそうなるわけではありません。手塚治虫氏や赤塚不二夫氏の実際の死因も、胃がんや脳出血など別の病気です。ただし、短い睡眠時間が続くことは心血管疾患などのリスクを高める要因の一つとして報告されており、無関係とは言えません。
Q.長く眠ればそれだけ健康に良いのですか?
そうとも言えません。国内の大規模調査では、10時間以上の長時間睡眠でも死亡リスクが上昇することが報告されています。睡眠時間には「短すぎても長すぎてもリスクが上がる」適量があると考えられています。
Q.睡眠時間は十分取れているのに日中眠いのですが、関係ありますか?
睡眠時無呼吸症候群があると、布団に入っている時間は十分でも、呼吸が止まるたびに脳が覚醒し、深い睡眠が取れていないことがあります。睡眠時間が足りているはずなのに日中眠い、という方は一度検査を受けることをおすすめします。
Q.無呼吸は治療すれば健常者と同じくらいまで改善しますか?
重症の無呼吸でも、CPAP治療を継続することで生存率が健常者とほぼ同水準まで改善するというデータが報告されています。治療の継続が重要です。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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