睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎|夜中の胸やけ・咳との関係を医師が解説【上野いびきクリニック】
「夜中に胸やけで目が覚める」「口の中が酸っぱい感じがする」「寝ている間に咳き込んでしまう」——こうした症状で消化器内科を受診し、逆流性食道炎と診断された方の中には、実は背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースが少なくありません。
結論から言うと、睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎は、互いを悪化させ合う「双方向」の関係にあります。無呼吸が胃酸の逆流を引き起こしやすくし、逆流した胃酸が気道を刺激して無呼吸を悪化させる——このような悪循環が起こることがわかっています。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎の関係、夜中の胸やけ・咳の正体、そして逆流性食道炎で推奨される「傾斜枕」についても、その限界も含めて解説します。
結論:この記事の要点
睡眠時無呼吸症候群では、気道が塞がった状態で呼吸しようとする際に胸腔内が強い陰圧になり、胃酸が食道へ引き上げられやすくなるため、逆流性食道炎を合併・悪化させやすいことがわかっています。逆に、逆流した胃酸が喉や気道を刺激すると気道が狭くなり、無呼吸がさらに悪化するという悪循環も起こります。夜中の胸やけ・咳は、この双方向の悪循環のサインであることがあります。逆流性食道炎の対策としては上半身を10〜20cm程度高くする「傾斜枕(頭高位)」が広く推奨されますが、これはあくまで胃酸の逆流を軽減する対症療法であり、睡眠時無呼吸症候群そのものを治療するものではありません。咳や胸やけが続く場合は、逆流性食道炎の治療と並行して、無呼吸の検査も検討することをおすすめします。
上野いびきクリニックでは、逆流性食道炎の治療を受けていてもなかなか改善しない、という方の無呼吸検査のご相談も承っています。
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菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎の関係、夜中の胸やけ・咳への対処について解説しています。
上野いびきクリニックでは、逆流性食道炎など他の症状の背景にある無呼吸の検査・治療にも対応しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:無呼吸の重症度を客観的に評価
- CPAP治療:中等症〜重症の無呼吸への標準治療
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:3回・6回・12回のコースをご用意
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※逆流性食道炎そのものの診断・薬物治療(胃酸を抑える薬など)は、消化器内科での対応が基本となります。
📋 この記事でわかること
- 睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎はなぜ関係するのか
- 夜中の胸やけ・咳、その正体とは
- 逆流性食道炎で推奨される「傾斜枕(頭高位)」とは
- 傾斜枕は対症療法|無呼吸そのものは改善しない
- 両方に対応するために大切なこと
睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎はなぜ関係するのか

睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎は、一見別々の病気に思えますが、お互いを悪化させ合う「双方向」の関係にあります。
無呼吸→逆流の経路
気道が塞がった状態で呼吸をしようとすると、胸腔内が通常より強い陰圧(引っ張る力)になります。これは「詰まったストローを力いっぱい吸い込むような状態」に例えられ、この強い陰圧が胃の内容物を食道側へ引き上げてしまう要因になります。さらに、無呼吸からの覚醒に伴う自律神経の変化が、胃酸の逆流を防ぐ「下部食道括約筋」を緩みやすくさせます。
逆流→無呼吸悪化の経路
逆流した胃酸が喉や気道の粘膜を刺激すると、炎症や腫れが生じ、気道がさらに狭くなります。気道が狭くなればいびき・無呼吸は悪化しやすくなり、悪循環が形成されます。
CPAP使用中に起こる「呑気症(空気を飲み込んでしまう症状)」も、逆流性食道炎(GERD)との合併率が高いというデータが報告されており、無呼吸と消化器症状の関わりの深さがうかがえます。詳しくはCPAPでお腹が張る・ガスが溜まる原因は?「呑気症」のメカニズムもご覧ください。
夜中の胸やけ・咳、その正体とは

「夜中に胸やけで目が覚める」「口の中が酸っぱい」「寝ている間の咳が続く」といった症状は、上記の悪循環が起きているサインであることがあります。睡眠中の呼吸努力によって胃酸の逆流が促進され、その刺激で目が覚めたり咳き込んだりする——これが夜間特有の症状として現れやすい理由です。
こうした症状が続く場合、逆流性食道炎の治療だけを続けていてもなかなか改善しないことがあります。背景に無呼吸がある場合、そちらへの対応も同時に必要になるためです。
逆流性食道炎で推奨される「傾斜枕(頭高位)」とは

逆流性食道炎の対策として、消化器内科などでよく推奨されるのが、上半身全体を10〜20cm程度高くして眠る「傾斜枕(頭高位)」という方法です。重力の力を利用して胃酸が食道側へ上がってくるのを抑える、という考え方に基づいています。あわせて、体をやや左側にして眠る(左側臥位)ことも、胃の形状の関係で逆流しにくいとされ、推奨されることがあります。
・上半身を10〜20cmほど高くする(頭だけでなく体幹から傾ける)
・体の左側を下にして眠る
・就寝2〜3時間前までに夕食を済ませる
・就寝前の飲酒・脂肪分の多い食事を控える
寝る姿勢の工夫はいびきの出やすさにも関係するため、横向きでいびきが止まる人・止まらない人の違いもあわせて参考にしてみてください。
傾斜枕は対症療法|無呼吸そのものは改善しない
ここは、正確にお伝えしておきたい重要なポイントです。傾斜枕や体位の工夫は、「胃酸が食道へ逆流しにくくする」ための対症療法であり、睡眠時無呼吸症候群そのものを治療するものではありません。気道の狭さ・閉塞のしやすさという無呼吸の根本的な原因には、直接作用しないためです。
「傾斜枕で胸やけが楽になった=無呼吸も改善した」ではありません。
胸やけの症状が軽くなっても、無呼吸そのものが続いていれば、いびきや日中の眠気、そして本記事で解説した悪循環は続いている可能性があります。症状の緩和と、原因の治療は分けて考える必要があります。
実際、上半身を高くする楔(くさび)型の枕は逆流性食道炎には有効とされる一方、いびきへの効果は個人差が大きいことが知られています。いびき防止枕全般の効果と限界については「いびき防止枕」で治る人、治らない人の違いで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
両方に対応するために大切なこと
逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群の悪循環を断つには、それぞれを別々に、しかし同時並行で治療することが基本になります。逆流性食道炎については消化器内科での薬物療法(胃酸を抑える薬など)や生活習慣の改善、無呼吸についてはCPAP治療などの標準治療が中心です。CPAPによって無呼吸そのものが改善すれば、無呼吸時の強い陰圧も軽減され、結果的に逆流の頻度が減ることも期待できます。
「逆流性食道炎の治療をしているのに、夜間の咳や胸やけがなかなか良くならない」という方は、一度、無呼吸の検査を検討してみることをおすすめします。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。逆流性食道炎の治療を受けている方の、背景にある無呼吸の検査・CPAP治療にも対応しています。
「胃薬を飲んでいるのに、夜中の咳や胸やけが続く」という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ|胸やけの治療と、無呼吸の検査は分けて考える
睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎は、無呼吸時の強い陰圧や自律神経の変化を介して、互いを悪化させ合う関係にあります。夜中の胸やけ・咳は、この悪循環のサインであることがあります。
傾斜枕などの体位の工夫は、逆流性食道炎の症状を和らげる有用な対症療法ですが、無呼吸そのものを治療するものではありません。両方の症状にお悩みの方は、それぞれの原因に対する治療を並行して進めることが大切です。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.枕を傾斜させるだけで無呼吸も良くなりますか?
傾斜枕は胃酸の逆流を軽減する対症療法であり、無呼吸そのものの原因である気道の狭さには直接作用しません。胸やけの症状が和らいでも、無呼吸が続いている可能性があるため、気になる方は別途検査をおすすめします。
Q.夜中の咳が続く場合、何科を受診すればいいですか?
咳や胸やけが主な症状であれば、まず消化器内科での逆流性食道炎の検査・治療が基本です。治療を続けても改善しない場合や、いびき・日中の眠気も伴う場合は、当院のような睡眠を専門とするクリニックでの無呼吸検査もあわせて検討してください。
Q.逆流性食道炎の薬を飲んでいれば、無呼吸の検査は不要ですか?
逆流性食道炎の薬は胃酸の分泌を抑えるものであり、無呼吸そのものには作用しません。症状が別々の原因から起きている可能性があるため、いびきや日中の眠気に心当たりがある場合は、無呼吸の検査も別途受けることをおすすめします。
Q.CPAP治療をすれば、逆流性食道炎も治りますか?
CPAP治療によって無呼吸時の強い陰圧が軽減されることで、逆流の頻度が減る可能性はありますが、逆流性食道炎そのものの治療にはなりません。両方の症状がある場合は、それぞれの治療を並行して行うことが基本です。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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