睡眠時無呼吸とED・男性ホルモンの関係|男性の隠れた症状を医師が解説【上野いびきクリニック】
「朝立ちが減った」「以前より勃ちにくい」「パートナーとの関係に自信が持てない」——こうした悩みを抱える男性の中には、原因を加齢やストレスだと思い込み、背景にある睡眠時無呼吸症候群に気づいていないケースが少なくありません。
実際、睡眠時無呼吸症候群の男性はED(勃起機能障害)を合併しやすいことが、国内外の研究で報告されています。無呼吸による血管・神経へのダメージと、男性ホルモン(テストステロン)の低下が、複合的に関わっていると考えられています。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、睡眠時無呼吸症候群とED・男性ホルモンの関係をメカニズムから解説し、CPAP治療でどこまで改善が期待できるのかについても、エビデンスに基づいて正直にお伝えします。
結論:この記事の要点
睡眠時無呼吸症候群は、血管の内皮機能障害(勃起に必要な一酸化窒素の低下)、間欠的低酸素による酸化ストレス、骨盤内の自律神経障害、そして男性ホルモン(テストステロン)の低下という複数の経路でEDのリスクを高めると考えられています。海外の報告では無呼吸のある男性の約4割〜8割にEDがみられるとされ、国内データでも無呼吸患者のED発症率は6割を超えるとする報告があります。CPAP治療は有力な選択肢ですが、効果には個人差があり、特に毎晩4時間以上の継続使用ができている方でより改善が期待しやすいことが臨床試験でわかっています。「CPAPさえすればEDが治る」と単純に言い切れるものではなく、テストステロン補充療法についても無呼吸が未治療のまま行うとかえって症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。
上野いびきクリニックでは、ED・男性ホルモンの症状を入り口とした無呼吸検査のご相談も承っています。
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院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、睡眠時無呼吸症候群とED・男性ホルモンの関係について、メカニズムとエビデンスに基づいて解説しています。
上野いびきクリニックでは、EDや男性ホルモン低下の背景にある無呼吸そのものの検査・治療に対応しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:無呼吸の重症度を客観的に評価
- CPAP治療:中等症〜重症の無呼吸への標準治療
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:3回・6回・12回のコースをご用意
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※ED・男性ホルモンそのものの専門的な検査・治療(泌尿器科・男性内科領域)は、当院の対応範囲外となります。無呼吸の検査・治療と並行して、必要に応じて泌尿器科・男性内科への受診もご検討ください。
📋 この記事でわかること
- 睡眠時無呼吸症候群がEDのリスク因子になる理由
- 男性ホルモン(テストステロン)はなぜ低下するのか
- 無呼吸のある男性、どのくらいの割合でEDが起きているのか
- CPAP治療でEDは改善する?正しく知っておきたいこと
- 男性ホルモン補充療法(TRT)を検討する前に
睡眠時無呼吸症候群がEDのリスク因子になる理由

勃起は、脳からの信号、自律神経、そして陰茎の血管が正常に働くことで成り立つ、非常に繊細な仕組みです。睡眠時無呼吸症候群は、このいずれの働きにも悪影響を及ぼすことが、複数の経路から報告されています。
血管(内皮機能)へのダメージ
勃起には、血管を広げて陰茎に血液を集める「一酸化窒素(NO)」という物質の働きが欠かせません。無呼吸による血中酸素濃度の低下が繰り返されると、血管の内側(血管内皮)が傷つき、この一酸化窒素の産生が低下します。さらに、酸素濃度の急激な低下と回復が繰り返されることで血管が慢性的に炎症・酸化ストレスにさらされ、動脈が硬く・厚くなりやすいことも報告されています。
自律神経・骨盤内神経への影響
睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに交感神経が優位になり、体が十分にリラックスできません。また、低酸素状態が骨盤内の神経(勃起の信号を伝える神経)に直接ダメージを与える可能性も指摘されており、無呼吸のある男性では神経機能の異常がみられやすいとする報告もあります。
こうした血管・神経へのダメージは、無呼吸が全身に及ぼす影響のひとつの側面にすぎません。無呼吸が血糖値やホルモンバランスに与える影響については睡眠時無呼吸症候群と糖尿病|血糖値・インスリン抵抗性との関係でも詳しく解説しています。
男性ホルモン(テストステロン)はなぜ低下するのか

テストステロンは、睡眠中、特に深い睡眠やレム睡眠の時間帯に多く分泌されるホルモンです。睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに脳が覚醒に近い状態になり、深い睡眠が細切れになってしまうため、テストステロンが十分に分泌されにくくなります。
これに加えて、無呼吸そのものが脳下垂体の働きに直接的な抑制効果を及ぼす可能性も報告されています。低酸素状態や中途覚醒の繰り返しが、性ホルモンの分泌を調節する「視床下部-下垂体-精巣系」というホルモン調節の仕組み全体に影響を与えると考えられています。肥満やメタボリックシンドロームを合併している場合は、炎症などを介してさらにテストステロン低下が進みやすくなることもわかっています。
一方で、テストステロンの低下自体が睡眠の質を悪化させ、無呼吸を助長する面もあるとされており、こちらも一方通行ではなく双方向の関係にあると考えられています。
無呼吸のある男性、どのくらいの割合でEDが起きているのか
睡眠時無呼吸症候群とEDの合併率については、調査によって幅がありますが、いずれも「無関係とは言えない」水準の数字が報告されています。
| 報告 | EDの合併率など |
|---|---|
| 海外の複数研究(範囲) | 無呼吸のある男性の約41〜82%にEDがみられると報告 |
| 国内の報告(無呼吸患者全体) | ED発症率 約64.5% |
| 国内の報告(重症の無呼吸患者) | ED発症率 約73.0% |
数字に幅があるのは、対象患者の重症度や年齢、EDの評価方法が研究ごとに異なるためです。ただ、いずれの報告でも無呼吸が重症になるほどEDの割合も高くなる傾向は共通しており、無呼吸の重症度とEDには一定の関連があると考えられます。
CPAP治療でEDは改善する?正しく知っておきたいこと

「無呼吸を治療すればEDも治る」と単純に言いたいところですが、ここは正確にお伝えする必要があります。CPAPとED治療薬を比較した無作為化比較試験では、CPAPを使った全員で見た場合、勃起機能のスコアに統計的に有意な改善は見られませんでした。一方で、毎晩4時間以上CPAPを継続して使用できていたグループに限ると、勃起機能スコアの有意な改善が確認されており、睡眠中の勃起回数の増加や、性生活全体の満足度の向上も報告されています。
「CPAPを始めればEDが治る」ではありません。
効果には個人差があり、特に毎晩安定して使い続けられるかどうか(アドヒアランス)が結果を左右します。また、CPAPが血中のテストステロン濃度そのものを明確に上げるという一貫したエビデンスは、現時点では確立されていません。ED症状が強い場合は、無呼吸の治療と並行して、泌尿器科でのED治療についても相談することをおすすめします。
CPAP治療そのものの効果や使い方についてはCPAPと麻酔・内視鏡検査時の注意点など他の記事もあわせてご参照ください。
男性ホルモン補充療法(TRT)を検討する前に

テストステロン低下を指摘され、男性ホルモン補充療法(TRT)を検討する方もいらっしゃいますが、未治療の中等症〜重症の睡眠時無呼吸症候群がある状態でTRTを行うと、無呼吸をかえって悪化させる可能性があることが報告されています。特に短期間で高用量のテストステロンを投与した場合に、睡眠時間の減少や低酸素の時間が増加したとする研究があります。
そのため、多くのガイドラインでは、未治療または重症の無呼吸がある方へのTRTには慎重な判断が必要とされています。テストステロン低下が気になる方は、まず無呼吸の有無を確認し、必要であればCPAPなどで無呼吸をコントロールした上で、TRTの適応について泌尿器科・男性内科の専門医と相談する、という順序が望ましいと考えられます。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。ED・男性ホルモン低下の背景にある無呼吸の検査・CPAP治療に対応しており、必要に応じて泌尿器科・男性内科への受診もご案内しています。
「ED治療の前に、まず無呼吸が関係していないか調べておきたい」という方は、お気軽にご相談ください。
CPAP以外にもいびきレーザーや医療的ダイエットを用いて無呼吸症状に対する治療の選択肢があります。詳しくはお気軽に受診の上ご相談ください。
まとめ|EDや男性ホルモン低下の背景に、無呼吸が隠れていることがある
睡眠時無呼吸症候群は、血管・神経へのダメージとテストステロン低下という複数の経路を通じて、EDのリスクを高める可能性があります。無呼吸のある男性のうち、少なくない割合がEDを合併しているという報告もあります。
CPAP治療は有力な選択肢のひとつですが、効果を実感するには継続的な使用が鍵になります。「年齢のせい」と諦める前に、一度、無呼吸の可能性を確認してみることをおすすめします。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.無呼吸とEDは、本当に関係あるのですか?
はい、複数の研究で関連が報告されています。無呼吸による血管・神経へのダメージや男性ホルモンの低下が、EDのリスクを高める要因になると考えられています。ただし、EDには加齢や生活習慣、心理的要因など他の原因も関わるため、無呼吸だけが原因とは限りません。
Q.CPAPを始めれば、EDは必ず治りますか?
必ず治るとは言えません。臨床試験では、CPAPを継続的に(毎晩4時間以上)使用できているグループで改善が見られましたが、使用が不十分な場合は明確な改善が確認されていません。ED症状が強い場合は、無呼吸の治療と並行して泌尿器科への相談もおすすめします。
Q.テストステロンを補充すれば、無呼吸もEDも良くなりますか?
未治療の無呼吸がある状態でテストステロン補充療法を行うと、かえって無呼吸を悪化させる可能性が報告されています。テストステロン低下が気になる場合は、まず無呼吸の有無を確認し、必要な治療を行った上で補充療法の適応を専門医と相談することをおすすめします。
Q.何科を受診すればいいですか?
いびきや日中の眠気など無呼吸が疑われる症状がある場合は、当院のような睡眠を専門とするクリニックでの検査をおすすめします。ED治療そのものについては、泌尿器科・男性内科が専門となります。両方の症状がある場合は、それぞれの科と連携しながら治療を進めることが可能です。
上野いびきクリニックまでお気軽にご相談ください【当日予約可】
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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