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長引く腰痛は骨盤の炎症が原因!?リウマチ性疾患「強直性脊椎炎」について解説

頚椎・腰椎疾患について 2021.07.21更新

院長監修記事

梅林猛

梅林 猛

東京脊椎クリニック院長/日本脳神経外科学会専門医/日本脊髄学会指導医

医療法人メディカルフロ ンティアでは脊椎手術に特化した医療施設(東京脊椎クリニック)を運営しています。

その施設の責任者である梅林猛医師監修の下、脊椎疾患や手術術式についても寄稿していきます。

 

【目次】

■強直性脊椎炎とは?特徴や症状をご紹介
■強直性脊椎炎は原因不明の疾患?
■強直性脊椎炎の診断方法
■まとめ

強直性脊椎炎とは?特徴や症状をご紹介

強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)とは

強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)とは、脊椎や骨盤の炎症が原因で起きるリウマチ性疾患です。

その長引く腰痛、実は強直性脊椎炎かもしれません。

強直性脊椎炎は、はっきりとした原因は不明の疾患です。

ただし、発症した患者さんの多くで、白血球にある抗原のHLA-B27が陽性でした。

このことからも、遺伝的な要因が関与している可能性が考えられています。

原因はいまだに不明の疾患

強直性脊椎炎がどのようにして起こるのかについて、まだよく分かっていません。

遺伝的な要因が元になって、腸内細菌の感染などをきっかけとして生じた免疫異常による炎症が、
治らないままに持続すると考えられています

TNF-αと呼ばれる炎症物質

炎症が発生すると、痛みや運動障害などの症状がみられます。

炎症が起こっている場所では、
TNF-αと呼ばれる炎症物質が大量に作られていることが分かっていて、これが症状を引き起こす要因の一つだと考えられています。

特徴

・10~30歳代の発症例がもっとも多く、男性の患者さんの方が多い

強直性脊椎炎は、多くは10~30歳代までに発症し、40歳を超えて発症するのは稀であると言われています。

10~30歳代の時期に痛みなどの症状が強く出ます。

40歳代になると痛みはおさまる傾向にあります。

また強直性脊椎炎の患者さんの男女比は、3:1と男性が多くなっています。

男性に比べて女性では発症が遅く、軽症であることが多いようです。

・患者数

わが国では、強直性脊椎炎の患者さんは3万人前後と推察されます。

一方、2018年の全国疫学調査の結果、患者数は3,200人と推定されました。

諸外国と比べて患者さんの数が少ないと考えられ、診断が遅れがちなようです。

診断がつくまでに平均9年程度かかるともいわれています。

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強直性脊椎炎は原因不明の疾患?


背骨や骨盤の炎症による首・背中・腰の痛み、からだのこわばりなど、さまざまな症状があらわれます。

良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、徐々に症状が進むといわれています。

腰の痛みは特徴的で、動いたほうが楽になる

特に腰の痛みは特徴的で、安静にしているよりも、むしろ動いたほうが痛みが軽くなります。

この特徴的な腰の痛みを「炎症性腰背部痛」といいます。

痛みやこわばりは大量に作られるサイトカインが関係

こうした症状は、炎症を起こす「サイトカイン」という物質が関わっていると考えられています。

サイトカインは免疫機能の調節や炎症などに関わるたんぱく質で、そのなかでも炎症の原因となるものが炎症性サイトカインです。

遺伝的な要因(病気になりやすい体質)に、物理的刺激や腸内細菌バランスの崩れなどがきっかけとなって免疫異常が起こり、サイトカインが大量に作られるようになります5)。

これにより炎症が起き、痛みやこわばりがあらわれます。

炎症性サイトカインにはいくつかの種類があり、IL-17A(インターロイキン・17・エー)などが深く関わっていると考えられています1)。

症状が進むとさまざまな動作が困難に

強直性脊椎炎では、両側の仙腸関節からからだの上方向に症状が進むことが多いです。

脊椎周辺、すなわち腰背部、殿部、項部、時に股関節や膝関節の疼痛、全身のこわばりや倦怠感、発熱などが主な症状で、病状が進むにつれて次第に脊椎や関節の動きが悪くなり、20~30%の症例では、脊椎が骨性に固まって動かなくなる、すなわち強直を生じることがあります(竹様脊椎bamboo spine)。

まれに股関節にも強直が起こり、人工関節置換術が必要になることがあります7)。

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強直性脊椎炎の診断方法


臨床症状や画像検査、血液検査などを参考に総合的に診断します。

腰の痛みがみられる病気は多く、ほかの病気と区別する鑑別診断を行う必要があります。

臨床症状

診断において腰や背中の痛み、からだのこわばりなどの症状の確認はとても重要です。

体軸性脊椎関節炎でみられる炎症性腰背部痛は、一般的な慢性腰痛とは特徴が異なるため、体軸性脊椎関節炎を疑うきっかけになります。

画像検査

X線検査やMRI検査で背骨、骨盤の状態を観察します。

初期段階の骨の変化をみつけるにはMRI検査が役立ちます。

血液検査

体軸性脊椎関節炎ではからだのなかで持続的な炎症が起きているため、炎症反応を評価するCRPというマーカーが増えているかを調べます。

また、体軸性脊椎関節炎と関連があるHLA-B27という遺伝子の型をもっているかどうか確認することもあります(健康保険の適用外のため主治医との相談が必要です)。

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