睡眠検査の結果を見て、「AHIはそこまで高くないのに、SpO2(血中酸素飽和度)はかなり下がっている」と不思議に思われたことはないでしょうか。逆に「AHIは高いのに、SpO2はそれほど下がっていない」というケースもあります。
実はこれは決して珍しいことではなく、AHIとSpO2は、そもそも「測っているもの」が違う指標だからです。この違いを理解しないまま数値だけを比較すると、重症度を見誤ってしまうことがあります。
この記事では、なぜAHIとSpO2の数値が一致しないことがあるのか、そのメカニズムを院長が解説します。
結論:この記事の要点
AHIは「無呼吸・低呼吸が1時間に何回起きたか」という頻度の指標であるのに対し、SpO2は「一回一回の無呼吸で、実際にどれだけ血液中の酸素が下がったか」という深さの指標です。両者は測定している次元が異なるため、回数は少なくても持続時間が長い無呼吸が多いケースや、肥満・肺機能の低下などで酸素の予備能が少ないケースでは、AHIが低くてもSpO2が大きく下がることがあります。逆に、回数が多くても一つ一つが短時間であれば、AHIが高くてもSpO2はそれほど下がらないこともあります。どちらか一方だけでなく、両方の指標を合わせて総合的に評価することが重要です。
上野いびきクリニックでは、AHIとSpO2の両方を含めた検査データを総合的に評価し、重症度を正確に判断しています。「数値の意味がよく分からない」という方は、遠慮なくご相談ください。
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菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之の監修のもと、AHIとSpO2の数値が一致しない理由について解説しています。
上野いびきクリニックでは、AHIだけでなくSpO2データも含めて総合的に評価し、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
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- 簡易検査・PSG検査:AHI・SpO2など多角的にデータを評価
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- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※重症度の判断は、AHI・SpO2を含む複数の指標を組み合わせて医師が総合的に行います。
📋 この記事でわかること
- AHIとSpO2、それぞれ何を測っているのか
- なぜ「AHIは低いのにSpO2は低い」ことが起きるのか
- 逆に「AHIは高いのにSpO2はそれほど低くない」ケース
- 数値が一致しないときに医師が見ているポイント
- 結局どちらの数値を重視すべきか
AHIとSpO2、それぞれ何を測っているのか

まず、両者が「何を測っている指標なのか」を整理しておきましょう。
| 指標 | 測っているもの |
|---|---|
| AHI | 1時間あたりに無呼吸・低呼吸が「何回」起きたか(頻度) |
| SpO2 | 無呼吸のたびに血液中の酸素が「どれだけ」下がったか(深さ) |
AHIの詳しい基準値については以下の記事、SpO2の詳しい見方(最低SpO2・ODI・T90)については以下の記事でそれぞれ解説していますので、基礎から確認したい方はあわせてご覧ください。
なぜ「AHIは低いのにSpO2は低い」ことが起きるのか

AHIが低い(無呼吸の回数が少ない)にもかかわらず、SpO2が大きく下がるケースには、主に次のような背景が考えられます。
①無呼吸1回あたりの持続時間が長い
AHIは「回数」しかカウントしないため、10秒間の無呼吸も60秒間の無呼吸も、同じ「1回」として数えられます。回数自体は少なくても、一つ一つの無呼吸が長く続くタイプの場合、その間に酸素が大きく下がってしまい、SpO2の数値としては悪化します。
②肥満や肺機能の低下により、酸素の「予備能」が少ない
体格や肺の状態によって、息を止めたときにどれだけ体内に酸素の余力(予備能)があるかは人それぞれ異なります。肥満の方や、もともと肺機能が低下している方(COPDなどの呼吸器疾患を合併している場合など)は、同じ長さの無呼吸でも、酸素の消費が早く、SpO2がより大きく・より早く下がりやすい傾向があります。
③無呼吸がレム睡眠や特定の体位に集中している
一晩を通した平均のAHIが低くても、レム睡眠中や仰向けの姿勢のときだけ無呼吸が集中して起こるタイプの方がいます。レム睡眠中は筋肉の緊張がより緩みやすいため、その時間帯の無呼吸は持続時間が長く、深い酸素低下を伴いやすい傾向があります。一晩全体で平均するとAHIは目立たなくても、該当する時間帯だけを見れば重度の酸素低下が起きている、ということが起こりえます。
逆に「AHIは高いのにSpO2はそれほど低くない」ケース
反対のパターンもあります。無呼吸・低呼吸の回数(AHI)自体は多くても、一つ一つの持続時間が短く、体力的・肺機能的な酸素の予備能に余裕がある方の場合、SpO2の低下は比較的軽度にとどまることがあります。
この場合、「AHIの数値ほど深刻ではない」と安易に判断してしまいがちですが、無呼吸そのものによる睡眠の分断(脳が繰り返し覚醒反応を起こすこと)は別途起きているため、日中の眠気や睡眠の質の低下といった影響は残ります。AHIとSpO2、どちらか一方だけで「大丈夫」と判断するのは禁物です。
数値が一致しないときに医師が見ているポイント
AHIとSpO2の数値に乖離が見られる場合、医師は次のような点をあわせて確認しています。
・個々の無呼吸イベントの持続時間の分布
・無呼吸がどの睡眠段階(レム/ノンレム)・どの体位に集中しているか
・BMIや肺機能など、酸素の予備能に関わる背景因子
・最低SpO2・ODI・T90といったSpO2関連の詳細指標
つまり、AHIとSpO2の乖離自体が「診断のヒント」になることもあります。例えば、AHIの割にSpO2の低下が目立つ場合は、レム睡眠関連の無呼吸や、肺機能・体格による影響を疑って評価を進めることがあります。
結局どちらの数値を重視すべきか
結論として、AHIとSpO2は優劣をつけるものではなく、互いに補い合う指標です。AHIは「頻度」、SpO2は「深さ」というそれぞれ異なる側面を示しており、両方をあわせて見ることで、初めて睡眠時無呼吸症候群の全体像が見えてきます。
検査結果を受け取った際は、AHIの数値だけ、あるいはSpO2の数値だけを見て一喜一憂するのではなく、両方の数値がどう組み合わさっているのかを、必ず医師の説明とあわせて確認するようにしましょう。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。AHIとSpO2をはじめとする検査データを総合的に読み解き、患者様お一人おひとりの状態に合った治療をご提案しています。
「検査結果のAHIとSpO2の数値が一致しなくて不安」という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ|AHIとSpO2は「頻度」と「深さ」、両方を見て判断する
AHIは無呼吸の「回数」を、SpO2は無呼吸ごとの酸素低下の「深さ」を示す指標であり、測っている次元が異なります。無呼吸の持続時間や、体格・肺機能による酸素の予備能、無呼吸が起こる睡眠段階・体位によって、両者の数値は一致しないことがあります。
どちらか一方の数値だけで判断せず、両方をあわせて医師に確認することが、正確な重症度の把握につながります。
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よくある質問
Q.AHIとSpO2、どちらが重症度の判断に重要ですか?
どちらか一方が優先されるわけではありません。頻度を示すAHIと、深さを示すSpO2の両方をあわせて評価することが重要です。
Q.AHIが軽症の範囲でも、SpO2が低ければ治療が必要ですか?
数値の組み合わせや自覚症状によっては、治療を検討することがあります。自己判断せず医師にご相談ください。
Q.無呼吸の持続時間はどこで確認できますか?
検査結果の詳細レポートに記載されていることが多いです。分かりにくい場合は、診察時に医師に確認することをおすすめします。
Q.肥満だと酸素が下がりやすいのはなぜですか?
肥満により肺が広がりにくくなることなどから、体内に保持できる酸素の余力(予備能)が少なくなりやすいためです。
Q.レム睡眠中の無呼吸は特に注意が必要ですか?
レム睡眠中は筋肉の緊張が緩みやすく、無呼吸が長引きやすい傾向があります。一晩の平均AHIが低くても油断せず、詳細なデータを確認することが大切です。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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