簡易検査が正常でも睡眠時無呼吸?偽陰性の理由とPSGが必要なケースを医師が解説【上野いびきクリニック】
「簡易検査を受けたら数値は正常だった。でも、いびきや日中の眠気は相変わらずひどい」——このような相談は、上野いびきクリニックの診療でも決して珍しくありません。
自宅でできる簡易検査は手軽で便利な一方、検査の性質上、実際には睡眠時無呼吸症候群(SAS)があっても「正常」という結果が出てしまうことがあります。これを「偽陰性(見逃し)」と呼びます。
この記事では、簡易検査で正常と判定されても無呼吸が否定できない理由と、精密検査(PSG)が必要になる具体的なケースについて、院長が解説します。
結論:この記事の要点
簡易検査は脳波を測定しないため、実際に眠っていた時間(総睡眠時間)を正確に把握できません。無呼吸・低呼吸の回数を「総測定時間」で割って指数を算出するため、覚醒していた時間も分母に含まれ、実際の睡眠中の重症度より低く算出されやすいという特性があります。そのため、いびき・日中の強い眠気・起床時の頭痛といった自覚症状が強いのに簡易検査が正常だった場合は、無呼吸が否定されたとは限りません。特に心疾患がある方、検査結果が不確定・技術的に不十分だった方は、入院・宿泊での精密検査(PSG)による再評価が推奨されます。自己判断で「異常なし」と結論づけず、症状が続く場合は医師にご相談ください。
上野いびきクリニックでは、簡易検査での結果にかかわらず、症状が続く場合の精密検査(PSG)へのご案内も行っています。「検査結果は正常だったのに症状が続く」という方も、遠慮なくご相談ください。
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院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之の監修のもと、簡易検査の偽陰性とPSGが必要なケースについて解説しています。
上野いびきクリニックでは、簡易検査・PSG検査による正確な評価から、CPAP・レーザー治療まで一貫して対応しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:症状に応じて精密検査への切り替えも対応
- CPAP治療:中等症〜重症の無呼吸への標準治療
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:3回・6回・12回のコースをご用意
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※検査結果の解釈やPSGの必要性は個々の症状により異なるため、正確な判断は診察のうえ行います。
📋 この記事でわかること
- なぜ簡易検査で「正常」なのに無呼吸が疑われるのか
- 見逃されやすい無呼吸のタイプ
- PSG(精密検査)が必要になる具体的なケース
- 簡易検査とPSGの違いのおさらい
- いびきをかいているのに検査で異常が出ない場合の注意点
なぜ簡易検査で「正常」なのに無呼吸が疑われるのか

簡易検査(携帯型モニターによる検査)は、自宅で手軽に受けられる便利な検査ですが、脳波を測定しないという構造的な限界があります。脳波がないと「実際にいつ眠り、いつ覚醒していたか」を正確に判定できません。
そのため簡易検査では、無呼吸・低呼吸の回数を「実際の睡眠時間」ではなく「検査を装着していた総測定時間」で割って指数を算出します。装着中に途中で目が覚めていた時間も分母に含まれてしまうため、実際に眠っていた時間帯だけで見れば無呼吸が頻発していても、指数全体としては低く算出されやすいという特性があるのです。
「正常」は「無呼吸がない」ことの証明ではありません。
簡易検査での正常判定は、あくまで「その晩の検査条件下で基準を超えなかった」という結果であり、症状が強い場合には精密検査での再評価が検討されます。
見逃されやすい無呼吸のタイプ
簡易検査は一晩だけの記録であるため、その晩の睡眠状況によって結果が左右されやすいという側面もあります。特に次のようなタイプの無呼吸は、簡易検査では捉えきれないことがあります。
| タイプ | 見逃されやすい理由 |
|---|---|
| 体位依存性の無呼吸 | 仰向けで悪化するタイプの場合、検査当夜にたまたま横向きで眠る時間が多いと、実際より軽く評価されることがある |
| レム睡眠関連の無呼吸 | レム睡眠中に集中して悪化するタイプの場合、その晩のレム睡眠の量が少ないと過小評価されやすい |
| 軽症〜中等症の無呼吸 | 重症例に比べ、検査精度の限界による影響を受けやすい傾向が報告されている |
| 技術的な記録不良 | センサーのズレや外れ、体動によるノイズなどで、正確なデータが取得できていない |
海外の睡眠医学の学会報告でも、簡易検査(自宅で行う携帯型モニター検査)は結果が不確定・陰性であっても、症状が強い患者では偽陰性の可能性を考慮し、より精度の高い精密検査(PSG)へ進むことが推奨されています。
PSG(精密検査)が必要になる具体的なケース

次のようなケースでは、簡易検査の結果にかかわらず、精密検査(PSG)による評価が検討されます。
① 心臓病など、無呼吸の原因が複雑になりうる持病がある
② 簡易検査の結果が不確定、または装着不良などで技術的に十分なデータが得られなかった
③ いびき・強い日中の眠気・起床時の頭痛などの症状が強いのに、簡易検査で異常が出なかった
④ 簡易検査の数値では保険適用の基準に届かないが、症状から無呼吸が強く疑われる
特に④について、CPAP治療を保険診療で導入する基準は、簡易検査とPSG検査とで異なる数値が設定されています。2026年6月の改定により、簡易検査は指数40以上、PSG検査は指数15以上(改定前は20以上)が保険適用の目安となりました。つまり、簡易検査の基準には届かなくても、PSG検査を受けることで保険適用の対象になるケースがあるということです。基準改定の詳細は以下の記事で解説しています。
簡易検査とPSGの違いのおさらい
簡易検査は自宅で手軽に受けられる一方、PSG(ポリソムノグラフィー)検査は脳波を含む多項目を同時に測定します。脳波を測定することで、実際の睡眠時間・睡眠の深さ・覚醒反応まで正確に把握できるため、無呼吸の重症度をより正確に評価できるのがPSGの強みです。両者の違いについては、以下の記事で基本から詳しく解説しています。
※上野いびきクリニックは簡易検査はもとよりPSG(ポリソムノグラフィー)もご自宅で行って頂ける体制をとっています。
いびきをかいているのに検査で異常が出ない場合の注意点
「大きないびきをかいているのに、検査結果は正常だった」という場合、いびきの音が大きいこと自体は無呼吸の直接的な証拠にはなりません。一方で、いびきの音や自覚症状が強いのに検査上の数値が基準に届かない背景には、この記事で解説した検査の精度の限界が関係していることもあります。
なお、逆に「いびきをかかないのに無呼吸がある」というケースも存在し、これは今回とは別のメカニズムによるものです。詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。簡易検査の結果だけでなく、問診でお伺いする自覚症状もあわせて総合的に評価し、必要と判断した場合は精密検査(PSG)へのご案内も行っています。
「簡易検査は正常だったが症状が気になる」という方も、一度ご相談ください。
まとめ|簡易検査「正常」は無呼吸の否定ではない
簡易検査は脳波を測定しないため、実際の睡眠時間を正確に把握できず、無呼吸の重症度が実際より低く算出されやすいという特性があります。体位やレム睡眠に依存するタイプの無呼吸、心疾患がある場合、症状が強いのに検査結果が正常な場合などは、精密検査(PSG)による再評価が検討されます。
「検査は正常だったのに症状が続く」という場合は、自己判断で様子を見るのではなく、医師に相談することをおすすめします。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.簡易検査で正常だった場合、無呼吸の可能性はゼロですか?
いいえ。簡易検査は脳波を測定しないため、実際の重症度より低く算出されやすい特性があります。症状が続く場合は、無呼吸が否定されたとは考えず、医師にご相談ください。
Q.PSG検査は誰でも受けられますか?
医師の診察のうえ、簡易検査の結果や自覚症状などを総合的に判断して必要性を検討します。まずは問診・簡易検査から始めるのが一般的な流れです。
Q.PSG検査は入院が必要ですか?
いいえ。上野いびきクリニックでは患者様のご負担を考慮し、入院せず簡易検査同様ご自宅でPSG検査を受けて頂ける体制をとっています。
Q.簡易検査の基準に届かなくても保険適用になりますか?
簡易検査とPSG検査では保険適用の基準となる数値が異なります。簡易検査で基準に届かなくても、PSG検査を受けることで保険適用の対象になる場合があります。
Q.体位を変えて寝れば検査結果は改善しますか?
検査当夜の体位によって数値が変動することはありますが、それは無呼吸そのものが改善したわけではありません。普段通りの状態で検査を受けることが重要です。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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