秋の健康診断シーズン到来。「要精査」の前に知っておきたいいびき検査|自宅でできる簡易検査と在宅PSG【上野いびきクリニック】
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病|血糖値・インスリン抵抗性との関係を医師が解説【上野いびきクリニック】
「いびきや無呼吸」と「糖尿病」、一見別々の病気のように思えますが、実はこの二つは密接に関係し、互いに悪化させ合う関係にあることがわかっています。健康診断で両方を指摘された方や、糖尿病の治療を続けているのになかなか血糖値が安定しないという方は、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
結論から言うと、睡眠中の間欠的な低酸素状態や交感神経の過緊張が、インスリンの効きを悪くする(インスリン抵抗性を高める)ことが、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病のリスクを高める主なメカニズムです。逆に、CPAP治療によって無呼吸を改善することで、血糖コントロールが改善するという報告も多数あります。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係、CPAP治療による血糖コントロールへの影響、そして近年話題のGLP-1薬・チルゼパチド(マンジャロ)が無呼吸と糖尿病の両方に与える効果について解説します。
結論:この記事の要点
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の間欠的低酸素・交感神経の過緊張・睡眠の分断を通じてインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症・悪化に関わっています。両者は互いに悪化させ合う「双方向」の関係にあり、特に肥満を伴う場合はそのリスクが顕著です。CPAP治療を継続することで、特に1晩7時間以上の使用でHbA1cの改善が報告されており、血糖コントロールの一助になり得ます。また、GLP-1受容体・GIP受容体に作用するチルゼパチド(マンジャロ)は、肥満を伴う無呼吸患者のAHIを大きく改善させる臨床試験結果が報告されていますが、この試験は糖尿病がある方を対象から除外しており、「糖尿病と無呼吸を同時に治療する薬」と単純に言い切れるものではない点には注意が必要です。
上野いびきクリニックでは、糖尿病など生活習慣病をお持ちの方の無呼吸検査・CPAP治療のご相談も承っています。
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菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病・血糖値の関係、CPAP治療やGLP-1薬の影響について解説しています。
上野いびきクリニックでは、糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方の無呼吸検査・CPAP治療にも対応し、全身状態を見ながら適切な治療をご提案しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:無呼吸の重症度を客観的に評価
- CPAP治療:中等症〜重症の無呼吸への標準治療
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:3回・6回・12回のコースをご用意
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※糖尿病の薬物治療(インスリン、GLP-1薬など)そのものは、かかりつけの糖尿病内科・内分泌内科と連携しながら進めることが基本です。
📋 この記事でわかること
- 睡眠時無呼吸症候群と糖尿病はなぜ関係するのか
- 血糖値・インスリン抵抗性への具体的な影響
- CPAP治療は血糖コントロールを改善するのか
- GLP-1・チルゼパチド(マンジャロ)は無呼吸と糖尿病、両方に効果があるのか
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病はなぜ関係するのか

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は、単に「どちらも肥満の人に多い病気」という理由だけでつながっているわけではありません。無呼吸そのものが、血糖値を上げやすい体内環境を作り出すことが分かっています。
睡眠中に呼吸が止まる・弱くなることを繰り返すと、体は断続的な低酸素状態に陥り、そのたびに脳が覚醒します。この「間欠的低酸素」と「睡眠の分断」が、次のような形で血糖値の調整に影響を及ぼします。
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は「互いに悪化させ合う」双方向の関係にあります。
無呼吸が糖尿病のリスクを高めるだけでなく、糖尿病による神経障害や肥満が、無呼吸を悪化させることもあります。
血糖値・インスリン抵抗性への具体的な影響

無呼吸が血糖値に影響する主な経路は、次の3つに整理できます。
| 経路 | 血糖値への影響 |
|---|---|
| 間欠的低酸素 | 酸素不足のストレスが交感神経を活性化させ、血糖を上げるホルモン(アドレナリン・コルチゾールなど)の分泌を促す |
| 交感神経の過緊張 | インスリンの効きを悪くする「インスリン抵抗性」を引き起こし、同じ量のインスリンでも血糖が下がりにくくなる |
| 睡眠の分断・質低下 | ストレス反応の増加や食欲調整ホルモンの乱れを通じて、さらに血糖コントロールを難しくする |
この悪循環により、膵臓はより多くのインスリンを分泌しようと働きますが、それでも血糖値を十分に下げきれなくなっていきます。無呼吸の重症度(AHI)が高いほど、この影響は大きくなる傾向が報告されています。
CPAP治療は血糖コントロールを改善するのか

では、CPAP治療で無呼吸を改善すれば、血糖値も良くなるのでしょうか。複数の研究で、CPAP治療が2型糖尿病患者のHbA1cを改善させることが報告されています。
| 使用状況 | 報告されている効果の目安 |
|---|---|
| 1週間程度の使用 | 24時間の平均血糖値が改善したとする報告がある |
| 3〜5ヶ月の継続使用 | HbA1cが平均0.2〜0.3%程度低下(もともとの血糖値が高い方ほど改善幅が大きい傾向) |
| 1晩あたり7時間以上の使用 | 4時間未満の使用に比べ、より大きなHbA1c改善が報告されている |
重要なのは、CPAPだけで糖尿病が完治するわけではなく、あくまで血糖管理全体の一部だという点です。効果を得るには継続使用が前提となり、使用を中断すれば効果も失われます。日々の使用時間の目安についてはCPAPをつけても眠いのはなぜ?残存眠気の原因7つもあわせてご覧ください。
GLP-1・チルゼパチド(マンジャロ)は無呼吸と糖尿病、両方に効果があるのか

近年、GLP-1受容体・GIP受容体に作用するチルゼパチド(国内商品名:マンジャロ)が、肥満を伴う無呼吸に対する効果で注目されています。米国で行われた大規模臨床試験(SURMOUNT-OSA試験)では、肥満と中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ患者に対し、チルゼパチドがAHIを大きく改善させたことが報告されています(試験によって、無治療の患者群で約30%減、CPAP併用群で約66%減という報告もあります)。
同試験では、空腹時インスリンやインスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)も、プラセボ群と比べて大きく改善したことが報告されており、体重減少を介して代謝面にも良い影響を与える可能性が示されています。
ここで正確にお伝えしたいのは、このSURMOUNT-OSA試験が「糖尿病のある方」を対象から除外して行われた試験だという点です。
そのため、「無呼吸と糖尿病を同時に治療できる薬」と単純に結論づけることはできません。チルゼパチドはもともと2型糖尿病治療薬として承認された薬剤であり、糖尿病治療そのものの有効性は別に確立されていますが、「無呼吸のある糖尿病患者」における効果を直接示した大規模データではない、という点を正しく理解しておく必要があります。
マンジャロのいびき・無呼吸改善のメカニズムや、2024年12月のFDAによる肥満合併OSA治療薬としての承認については、SNSで広がる「マンジャロダイエット」の危険性|いびき改善に有効な可能性がある一方、安易な購入はなぜ危ないのかで詳しく解説しています。糖尿病の薬物治療を含め、GLP-1薬の使用は自己判断ではなく、必ず医師の管理のもとで検討してください。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方の無呼吸検査・CPAP治療にも対応しており、必要に応じてかかりつけの糖尿病内科・内分泌内科とも連携しながら診療を進めます。
「血糖値がなかなか安定しない」「糖尿病と一緒にいびきも指摘されている」という方は、お気軽にご相談ください。
まとめ|無呼吸と糖尿病は、片方だけでなく両方を見ることが大切
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は、間欠的低酸素・交感神経の過緊張・睡眠の質低下を通じて、互いに悪化させ合う関係にあります。CPAP治療の継続使用は、血糖コントロールの改善に寄与する可能性が報告されており、GLP-1薬・チルゼパチドも肥満を伴う無呼吸に対して大きな効果が示されています。
ただし、GLP-1薬を「無呼吸と糖尿病を同時に治す薬」と単純化して捉えるのではなく、それぞれの病態を正しく評価した上で、医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.いびきをかく人は必ず糖尿病になりますか?
必ずなるわけではありません。ただし、無呼吸が続くとインスリン抵抗性が高まりやすく、特に肥満を伴う場合は糖尿病のリスクが上がることが報告されています。心配な方は一度検査を受けることをおすすめします。
Q.CPAPを使えば血糖値は下がりますか?
継続的な使用によりHbA1cの改善が報告されていますが、効果には個人差があり、糖尿病そのものを治すものではありません。血糖管理全体の一部として、食事・運動療法や薬物治療と併せて取り組むことが大切です。
Q.マンジャロを使えば、いびきと糖尿病を同時に治せますか?
チルゼパチド(マンジャロ)は肥満を伴う無呼吸のAHIを改善させる試験結果が報告されていますが、その試験は糖尿病のある方を対象から除外しています。無呼吸と糖尿病を同時に治療する効果が確立されているわけではないため、自己判断ではなく医師にご相談ください。
Q.血糖値が高めですが、いびきも指摘されています。何科を受診すればいいですか?
糖尿病の管理はかかりつけの糖尿病内科・内分泌内科、いびき・無呼吸の検査は当院のような睡眠障害を専門とするクリニックで対応できます。両方をお持ちの場合は、それぞれの医療機関で連携しながら診療を進めることが望ましいです。
上野いびきクリニックまでお気軽にご相談ください【当日予約可】
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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