「1日30分睡眠」は本当に可能?堀大輔さんの1週間ライブを睡眠医学から考える【上野いびきクリニック】
「1日30分睡眠」を掲げるショートスリーパーの堀大輔さんが、それを証明するとして1週間にわたる連続ライブ配信を実施し、2026年9月16日夜、無事に配信を完走しました。本人は終了時に「体力はあり余っている」とコメントしています。
一方で配信中には、整体の施術を受けている最中に約27分間いびきをかいて目を閉じている場面があり、本人は「マイクロスリープが10回ぐらい入った」と説明。さらに9月14日ごろには、今後は短い仮眠(パワーナップ)を取り入れる方針を表明し、「30分睡眠にこだわりすぎた」という趣旨の発言も報じられました。
「1週間のライブ配信を完走したこと」と「1日30分の睡眠だけで7日間生活したことを客観的に証明したこと」は、医学的には別の話です。この記事では、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門に診療する院長が、「マイクロスリープ」とは何か、いびきから何がわかるのか、そして睡眠時間を正確に知るには何が必要なのかを、睡眠医学の立場から解説します。
結論:この記事の要点
医学的にマイクロスリープとは、数秒〜十数秒程度のごく短い睡眠エピソードを指す言葉です。本人が「起きているつもり」でも脳が瞬間的に眠りに入る現象で、「問題のない小休止」ではなく、むしろ強い眠気や睡眠不足を示唆するサインとされています。また、いびきは睡眠中に上気道が狭くなることで起こる現象ですが、いびきの有無だけでは「何分眠っていたか」「睡眠の深さ」までは判定できません。実際の睡眠時間や質を正確に知るには、本人の自覚やウェアラブル端末の推定ではなく、脳波などを測定する終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が必要です。
上野いびきクリニックでは、「しっかり寝ているつもりなのに眠い」「いびきや無呼吸を指摘される」という方の検査・相談を承っています。自分の睡眠を正確に知りたい方は、遠慮なくご相談ください。
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堀大輔氏は本当に30分しか寝ていないのか?
麻酔科医・睡眠診療医が1週間ライブを医学的に検証
マイクロスリープの正体から、本当に検証するならどんな検査が必要かまで、院長が動画で詳しく解説しています。
院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之の監修のもと、「1日30分睡眠」とマイクロスリープについて、睡眠医学の立場から解説しています。
上野いびきクリニックでは、「自覚」ではなく客観的な検査データに基づいて、睡眠の状態を評価しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査・PSG検査:いびき・無呼吸の有無を客観的に評価
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※本記事は報道されている情報をもとにした一般的な医学解説であり、特定個人の状態を診断・評価するものではありません。
📋 この記事でわかること
- 堀大輔さんの「1日30分睡眠」1週間ライブとは
- 人間に必要な睡眠時間の目安
- 「マイクロスリープ」とは何か
- 施術中の「いびき」から何がわかるか
- 本当に検証するなら何が必要か
堀大輔さんの「1日30分睡眠」1週間ライブとは

「1日30分しか寝ないショートスリーパー」として活動する堀大輔さんは、それを証明するとして、2026年9月に1週間にわたる連続ライブ配信を実施しました。9月16日夜に配信は終了し、本人は「体力はあり余っている」とコメントしています。
一方で、配信2日目には整体の施術を受けている最中に約27分間いびきをかいて目を閉じている場面があり、これがSNSで大きな話題となりました。本人は「マイクロスリープが10回ぐらい入った」と説明しています。また、配信の一部では画面が映らず音声もミュートになる時間帯があり、全期間を通じて睡眠・覚醒の状態を客観的に連続確認できたわけではありません。さらに9月14日ごろには、今後は短い仮眠(パワーナップ)を取り入れる方針を表明し、「30分睡眠にこだわりすぎた」という趣旨の発言も報じられました。
「1週間のライブを完走したこと」と「1日30分睡眠だけで生活したことを客観的に証明したこと」は、医学的には別の話です。
この記事は、堀さんが「嘘をついている」あるいは「30分睡眠は絶対にあり得ない」と断定するものではありません。現在の睡眠医学では今回の出来事をどう捉えられるかを、客観的に整理します。
人間に必要な睡眠時間の目安
睡眠時間には個人差がありますが、医学的にはおおよその目安が示されています。米国睡眠医学会などでは、健康な成人には基本的に「定期的に7時間以上」の睡眠が推奨されています。もちろん全員が必ず7時間ちょうど必要というわけではありませんが、6時間、5時間、4時間と短くなるにつれて、一般的には睡眠不足による影響が出やすくなるとされています。
1日30分という睡眠時間は、7時間と比べると14分の1にあたります。「通常の成人が訓練すれば誰でも30分睡眠で健康に生活できる」という主張をするのであれば、相当に強い科学的根拠が必要になると考えられます。
「マイクロスリープ」とは何か

睡眠不足という状態は、本人の自覚と、実際の脳のパフォーマンスが必ずしも一致しないという特徴があります。睡眠不足が続くと反応速度や注意力、判断力が低下しますが、本人自身がその低下を正確に認識できるとは限りません。
その典型例が「マイクロスリープ」です。医学的には、一般的に数秒から十数秒程度のごく短い睡眠状態を指し、研究によって定義に多少の幅はあります。本人は「起きていた」と思っていても、脳波を見ると一瞬睡眠に入っていることがあり、特に運転中などでは重大な事故につながる危険性があるため、注意が必要な現象とされています。
マイクロスリープは「ちょっと寝ちゃったけど問題ない」という意味の言葉ではありません。
むしろ睡眠医学では、強い眠気や睡眠不足を示唆する重要な現象の一つとして扱われています。
施術中の「いびき」から何がわかるか
当院ではいびき・睡眠時無呼吸症候群を専門に診療しています。人間が眠ると、上気道を支える筋肉の緊張が低下し、舌や軟口蓋が緩んで空気の通り道が狭くなります。そこを空気が通ることで組織が振動し、いびきの音が生まれます。つまり、いびきは睡眠中の上気道の変化に伴って起こることが多い現象です。
ただし、いびきをかいていたからといって、「何分眠っていたか」「深い睡眠だったか」までを判定することはできません。睡眠の深さを判定するには脳波などの測定が必要です。今回、約27分間の施術中の映像だけを見て、「27分間ずっと睡眠だった」とも「すべてマイクロスリープだった」とも断定することはできません。
一方で、医学的な定義から考えると、マイクロスリープは通常、数秒から十数秒程度とされています。数分単位で睡眠状態が続いていたのであれば、一般的な医学用語としてそれを単純に「マイクロスリープ」と呼ぶのは難しくなる、という点は指摘しておきたいところです。
本当に検証するなら何が必要か

配信では、スマートリングの記録で「睡眠0分」だったという話も出ていたと報じられています。一般向けのウェアラブル端末は非常に便利ですが、体動や心拍数などからアルゴリズムで睡眠を「推定」しているものであり、脳波を直接測定しているわけではありません。短い睡眠や、じっと横になっている状態などでは、実際の脳波上の睡眠と判定がずれる可能性があります。
睡眠医学において睡眠を正確に判定する際は、脳波・眼球運動・筋電図などを測定する終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が基本になります。もし「本当に1日30分睡眠で長期間健康に生活できているか」を医学的に検証するのであれば、単に体調面での自己申告だけでなく、脳波を用いて実際の睡眠時間を確認し、あわせて認知機能や反応速度、血圧・代謝などを長期的に評価する必要があると考えられます。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。今回のニュースが示すように、睡眠というのは自分の自覚だけでは正確に把握できないものです。これは睡眠時無呼吸症候群も全く同じで、「普通に寝ています」「そんなに眠くありません」とおっしゃる患者様でも、検査をしてみると一晩に何十回、場合によっては何百回も呼吸が止まっていることがあります。
「十分寝ているはずなのに日中眠い」「家族からいびきや無呼吸を指摘される」「休日になると何時間でも寝てしまう」という方は、単なる寝不足ではなく、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性もあります。気になる方はお気軽にご相談ください。
まとめ|睡眠は自覚だけでは分からない
堀大輔さんの「1日30分睡眠」1週間ライブは、話題性のある試みでしたが、「配信を完走したこと」と「30分睡眠だけで生活できることを客観的に証明したこと」は別問題です。マイクロスリープもいびきも、それ単体では正確な睡眠時間や深さを示す証拠にはならず、本当に検証するなら脳波を用いた検査が欠かせません。
「30分で大丈夫な人がいるなら自分も睡眠を削ろう」と考えるのではなく、むしろ「自分の睡眠を自覚だけで判断していないか」を見直すきっかけにしていただければと思います。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.マイクロスリープとはどのくらいの長さの睡眠ですか?
一般的には数秒から十数秒程度のごく短い睡眠状態を指します。研究によって定義には多少の幅がありますが、数分単位の睡眠は通常マイクロスリープとは呼びません。
Q.いびきをかいていれば眠っている証拠になりますか?
いびきは睡眠中に上気道が狭くなることで起こりやすい現象ですが、いびきの有無だけで睡眠の深さや長さを判定することはできません。正確な判定には脳波などの測定が必要です。
Q.スマートウォッチやスマートリングの睡眠記録は信頼できますか?
体動や心拍数から睡眠を推定する便利なツールですが、脳波を直接測定しているわけではありません。短い睡眠などでは、実際の脳波上の判定とずれる可能性があります。
Q.本当に「30分睡眠」かどうかを医学的に証明するには何が必要ですか?
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による脳波の測定に加え、認知機能や反応速度、血圧・代謝などを長期的に評価する必要があると考えられます。
Q.「自分は眠れている」と思っていても無呼吸の可能性はありますか?
あります。睡眠時無呼吸症候群の患者様の多くは、自覚症状が乏しいまま一晩に何十回も呼吸が止まっていることがあります。気になる症状があれば検査をおすすめします。
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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