REM睡眠時だけ無呼吸が増える?REM関連睡眠時無呼吸とは|医師が解説

夜中にいびきで目が覚める

「簡易検査ではAHIが低めだったのに、朝の疲れが取れない」「CPAPは使っているのに、なんとなく調子が上がらない」——そんな場合に、背景として考えられる病態のひとつがREM関連睡眠時無呼吸(REM関連OSA)です。

結論から言うと、REM関連OSAとは、夢をみる浅い眠りである「REM睡眠」のときに、無呼吸・低呼吸がとくに増えるタイプの睡眠時無呼吸症候群です。REM睡眠中は、のどや舌の筋肉がほぼ完全に緩むため、気道がふさがりやすくなります。夜間の平均値であるAHIには、この偏りが埋もれてしまうことがあります。

この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、REM関連OSAの仕組み、見つかりにくい理由、血圧などとの関係、そして検査とCPAPの注意点を、現時点の研究でわかっていること・わかっていないことを分けて解説します。

結論:この記事の要点

REM関連OSAは「REM睡眠中のAHIが、ノンレム睡眠中より明らかに高い」タイプです。診断基準は統一されておらず、「全体のAHIが5以上で、REM期のAHIがノンレム期の2倍以上」などの定義がよく使われます(研究により定義が異なるため、有病率も17〜74%と幅があります)。REM睡眠は睡眠の後半〜明け方に多いため、短時間の睡眠やCPAPを早朝まで使わない場合は、最も無呼吸が起こりやすい時間帯を取りこぼす可能性があります。また、REM期のAHIが高い方では夜間高血圧との関連が報告されていますが、心血管イベントとの関係は研究によって結果が分かれており、まだ確立した結論ではありません。REMとノンレムを区別するには脳波が必要なため、確実に評価できるのは主にPSG(精密検査)です。「簡易検査で軽症だったが症状が強い」場合は、精密検査をご検討ください。


上野いびきクリニックでは、簡易検査と、自宅で受けられる保険診療のPSG検査(精密検査)に対応しています。REM期の無呼吸が疑われる場合も、検査結果をふまえてご説明します。
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日本テレビ「news every.」の記事に上野いびきクリニックが紹介されました
いびき・睡眠時無呼吸・睡眠障害について、受診や検査を考えるきっかけとしてご覧ください。

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院長監修記事

上野いびきクリニック院長菅谷和之

菅谷 和之

上野いびきクリニック 院長/麻酔科医

2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック

本記事は院長 菅谷和之が、REM関連睡眠時無呼吸の仕組み・検査・治療上の注意点について解説しています。

🩺上野いびきクリニックの包括的いびき治療

上野いびきクリニックでは、簡易検査・PSG検査の結果を医師が丁寧に読み解き、睡眠の段階ごとの呼吸の乱れも含めて、症状とあわせた治療方針をご提案しています。

保険診療でしっかり検査・継続治療

  • 簡易検査:自宅でできる無呼吸のスクリーニング
  • PSG検査:脳波を含めて評価できる精密検査(自宅で実施)
  • CPAP治療:保険適応基準を満たす無呼吸への標準治療

自由診療で根本改善・短期集中

  • いびきレーザー治療:検査で単純性いびきと確認された方に
  • 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても

※REM関連OSAの診断基準は統一されておらず、評価できる検査はPSGが中心です。ご自身の状態への当てはまりは、診察でご説明します。

📋 この記事でわかること

  1. REM関連睡眠時無呼吸とは?
  2. なぜREM睡眠中に無呼吸が増えるのか
  3. AHIが軽症でも見逃される?簡易検査とPSGの違い
  4. 高血圧・心血管との関係|わかっていること、いないこと
  5. CPAPは何時間使えばよい?「1日30分睡眠」とREM睡眠

REM関連睡眠時無呼吸とは?

睡眠は、大きくノンレム睡眠(深く休む眠り)とREM睡眠(脳が活発で、夢をみやすい眠り)に分かれ、一晩のうちに数回ずつ交互に現れます。REM睡眠は成人では睡眠全体のおよそ2割前後を占め、睡眠の後半、とくに明け方に多くなるのが特徴です。

REM関連睡眠時無呼吸(REM関連OSA、REM優位型OSA)は、このREM睡眠中だけ、あるいはREM睡眠中に著しく無呼吸・低呼吸が増えるタイプを指します。一般的には、PSG(精密検査)で「REM期のAHI」と「ノンレム期のAHI」を別々に算出して判定します。

項目 内容
よく使われる定義の例 全体のAHIが5以上、REM期AHI÷ノンレム期AHIが2以上、ノンレム期AHIが15未満 など(研究により異なる)
有病率 定義によって17〜74%と大きく幅がある(診断基準が統一されていないため)
起こりやすい傾向 女性、若〜中年、軽症〜中等症のOSAで多いとする報告が多い(年齢とともに性差は縮まる)
確実な評価方法 脳波を含むPSG検査(精密検査)

AHIそのものの意味は無呼吸検査 AHIとは?5・15・30で何が違う?、RDIやRERAなど他の指標との違いは睡眠検査のRDIとは?AHIとの違いとRERAを医師が解説で解説しています。

なぜREM睡眠中に無呼吸が増えるのか

夫・彼氏のいびきがうるさい

REM睡眠中には、体の動きを止めるために全身の骨格筋の力が抜ける(筋緊張の低下)しくみが働きます。呼吸に関わる筋肉の多くは働き続けますが、舌や喉の筋肉(たとえば舌を前に引き出すオトガイ舌筋)の活動は低下し、気道が狭く・つぶれやすくなります。

REM睡眠中に起こりやすい変化(主な考え方)

①舌・喉の筋肉の活動が下がり、気道がふさがりやすくなる。②低酸素や二酸化炭素に対する呼吸の反応が弱まる(覚醒時の3分の1未満になるとする報告もあります)。③肺の容量が減り、酸素の「備蓄」が少なくなる。④呼吸努力が弱いため、無呼吸が覚醒を起こすまでに長引きやすい。これらが重なり、REM期の無呼吸・低呼吸は、ノンレム期より長く、酸素も下がりやすい傾向があるとされています。

なお、これらは研究から示されている一般的なメカニズムです。個々の患者さんでなぜREM期に偏るのかは、気道の形や体重、年齢、性別などによっても異なり、すべてが解明されているわけではありません。

AHIが軽症でも見逃される?簡易検査とPSGの違い

PSG検査 いびきの精密検査

REM関連OSAが「見つかりにくい」と言われるのには、理由があります。

第一に、AHIは一晩全体の平均だからです。たとえばREM睡眠が一晩の2割程度しかなければ、その間にどれだけ無呼吸が集中していても、全体のAHIは軽症の範囲にとどまることがあります。第二に、自宅でできる簡易検査は脳波を測らないため、どの時間帯がREM睡眠かを区別できません。さらに、簡易検査は実際の睡眠時間を過大に見積もりやすく、PSGに比べて数値が低く出る場合があることも知られています。

検査 REMとノンレムの区別 REM関連OSAの評価
簡易検査(自宅) できない(脳波を測らない) 基本的に困難。軽症と出ても否定はできない
PSG検査(精密検査) できる(脳波で睡眠段階を判定) REM期・ノンレム期のAHIを別々に評価できる

上野いびきクリニックのPSG検査は自宅で受けられます。「PSGは入院が必要」と思われている方が多いのですが、ご自宅で検査できます。簡易検査の限界については簡易検査で異常なしでも安心できない?偽陰性のリスク、検査の種類の違いはいびき・睡眠時無呼吸症候群の検査とは?「簡易検査」と「PSG」をわかりやすく解説もご覧ください。

高血圧・心血管との関係|わかっていること、いないこと

REM関連OSAで最も関連が報告されているのが高血圧です。複数のコホート研究で、REM期のAHIが高い(目安としてREM期AHI 20以上)と血圧が高いことや、夜間に血圧が十分に下がらない「ノンディッパー」との関連が示されています。ある報告では、ノンレム期のAHIには血圧の予測力が見られなかった一方、REM期のAHIは独立した関連因子でした。

また、194人のOSA患者を調べた研究では、REM期AHIが1回/時増えるごとに夜間高血圧のリスクが約4.8%高まる(オッズ比1.048)と報告されています。この研究では、夜間高血圧の目安となるREM期AHIの境界値は23.6回/時とされましたが、精度は中程度(AUC 0.721)にとどまり、診断の目安として単独で使えるものではありません。

「REM関連OSAは危険」「放置してよい」とどちらも断言できません。

血圧以外の影響(心血管イベント、糖代謝、認知機能など)は、研究によって結果が一致していません。たとえば、REM期に偏った重症OSAと心血管イベントの関連は、すでに心血管疾患がある方に限って認められたとする報告もあります。上記の血圧の研究も、後ろ向きの調査で、サンプルが限られ、血圧は直接測定ではなく推定値で、CPAP治療の効果は評価されていません。現時点では「REM期の無呼吸が多い方は、血圧など全身への影響に注意が必要な可能性がある」という段階であり、個別の判断は医師の診察が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の一般的な影響については、重症(AHI30以上)の睡眠時無呼吸症候群の解説記事もあわせてご覧ください。

CPAPは何時間使えばよい?「1日30分睡眠」とREM睡眠

CPAP実機 ホースなど

CPAP治療の目安としては、「1晩4時間以上、週の7割以上の日に使用」が広く用いられています。ただし、REM睡眠は睡眠の後半に多いため、使用が4時間程度で終わると、REM睡眠の多い明け方の無呼吸が治療されないまま残る可能性が指摘されています。REM関連OSAでは、できるだけ朝まで通して使うことが望ましいとする考え方があります。

また、REM関連OSAの方はCPAPの使用時間が短くなりやすい、あるいはマスクの不快感を訴える方が多いとする報告もあります。ただし、研究ごとに患者さんの背景が異なるため、すべての方に当てはまるわけではありません。マスクや設定で困っている場合は、診察でご相談ください。CPAPの続け方や、やめたいと感じたときの考え方はCPAPをやめることについての解説記事もご覧ください。

睡眠時間を極端に削ると、REM睡眠も削られやすい

REM睡眠は睡眠の後半に増えていくため、睡眠時間を大きく短縮すると、REM睡眠も減りやすいと考えられています。過去に当院ブログで取り上げた「1日30分睡眠」は本当に可能?では、堀大輔さんの極端な短時間睡眠について、睡眠医学の視点から検討しています。睡眠の「長さ」と「中身(REM・ノンレム)」の両方が大切だという点は、REM関連OSAの話とも共通します。

なお、睡眠時間と健康・寿命の関係を扱った記事として睡眠時間と寿命についての解説記事もご覧ください。CPAPの使い方を実演した動画(冒頭の動画カード)も、使用時間やマスク選びの参考になります。

上野いびきクリニックでできること

上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。自宅でできる簡易検査と、保険診療のPSG検査(精密検査)に対応しており、結果票の数値の意味や、症状とのつながりをわかりやすくご説明しています。

「簡易検査では軽症だったのに眠気が取れない」「CPAPを使っているのに調子が上がらない」という方も、お気軽にご相談ください。

まとめ|REM関連OSAは「平均値」に隠れる無呼吸

REM関連睡眠時無呼吸は、REM睡眠中に無呼吸・低呼吸が集中するタイプです。REM睡眠中は筋肉が緩み、呼吸の調節も弱まるため、気道がふさがりやすく、イベントも長く、酸素も下がりやすくなります。REM睡眠は後半に多いため、短い睡眠や、早朝まで続かない治療では、取りこぼしが起こりえます。

高血圧との関連は報告されていますが、診断基準や長期の治療効果にはまだ不明な点が残っています。数字だけで安心せず、症状が続くときは、PSGを含む精密検査について医師にご相談ください。


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よくある質問

Q.REM関連睡眠時無呼吸は、自分で気づけますか?

自分で見分けることは難しいです。REM睡眠中は明け方に多いため、朝方に無呼吸が集中していても本人は気づきにくく、日中の眠気やだるさ、起床時の頭痛などがヒントになるにとどまります。確認にはPSG検査(精密検査)が必要です。

Q.簡易検査でAHIが低ければ、REM関連OSAは否定できますか?

否定できません。簡易検査は脳波を測らないため、REMとノンレムを区別できず、実際の睡眠時間も正確には把握できません。症状が強い場合は、PSGでの再評価をご検討ください。

Q.REM関連OSAでもCPAPは使えますか?

CPAPは有効な治療選択肢のひとつです。ただし、REM睡眠は睡眠の後半に多いため、使用時間が短いと効果が十分に得られない可能性が指摘されています。保険でのCPAP導入は全体のAHIを基準とするため、基準に届くかどうかは検査結果によって異なります。

Q.睡眠時間を極端に短くすると、REM睡眠はどうなりますか?

REM睡眠は睡眠の後半に増えるため、睡眠時間を大きく削ると、REM睡眠も減りやすいと考えられています。「1日30分睡眠」のような極端な短時間睡眠が本当に可能かどうかは、「1日30分睡眠」は本当に可能?で解説しています。

まずは初診でご相談ください

検査からCPAP治療の調整まで幅広くお受けしています。完全予約制・当日予約可。

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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之

2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務

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