首下がり症候群
首下がり症候群とは体を起こしている状態で顔を持ち上げてまっすぐ前をむくことができない、首が絶えず前に曲がった状態で、体幹に対して頭部が前屈しています。仰向けに寝ると元に戻ります。
頭をまをまっすぐに支える筋肉は、主に僧帽筋、頭板状筋(とうばんじょう筋)、頸板状筋(けいばんじょう筋)、頭半棘筋(とうはんきょく筋)などで、
これらの筋肉により頭部は支えられています。しかし、加齢やなんらかの病気により筋肉が落ちる・過度に筋肉が緊張している状態などが続くと筋肉の機能が衰えてしまい、頭を支えられなくなります。このような状態になると首を上げづらいと感じ首下がりになります。
原因
加齢により上記の筋力が低下してくることが最も多いといわれています
また加齢以外に筋力低下をきたす疾患が原因となっている場合もあります
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
- 脊髄小脳変性症
- 筋委縮性側索硬化症
- 頚椎症
- ミオパチー
- 重症筋無力症
- 甲状腺機能低下症 等
- 薬剤(ドパミン作動薬、DPP-4阻害薬など)
また最近はパソコンやスマートフォンなどの多用によって首がクレーンのように前にでているクレーンネックが将来的に首下がりの原因になる可能性が高いと考えられ、今後この首下がりが凄い勢いで増えていると言われています。
症状
進行すると朝は、調子が良くても夕方・夜になると首が上がらなくなってくる場合もあります。そのままにしておくと、症状が変わらないどころか
起きている時間ずっと悩まされるようになる人もいます。
姿勢の問題とともに、起きて姿勢を保とうとすると首や背中が痛くなるために、長く起きていることができなくなる患者さんもいます。
また、前を見ることが困難になれば、歩くこともままなりません。
経過
肩こりのような違和感
↓
頭部が重く感じる
↓
前にかがんだような状態になる。頭を無理に上げようとすれば、首や背中に痛みを感じ始める
↓
視線が下に下がるので、歩きにくくなり、飲み込む(嚥下)ことや呼吸するのも苦しく感じる
診断検査
症状が出現し始めたら
上記の原因疾患の有無を精査する
頸部レントゲン撮影
治療
原因疾患の治療が第一優先です
原因疾患の治療にても効果がない場合、原因が不明の場合、日常生活が高度に障害されている場合などは
手術による固定術を行う場合があります。
しかし首下がりに対する頸椎固定術はかなり難易度が高いため相当熟練した医師でないと難しい手術です良く医師と相談のうえ治療法を決定されたほうがよいかと存じます。