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頚椎後縦靭帯骨化症

後縦靱帯骨化症(OPLL)は国から指定難病されています(指定難病69)

指定難病とは

難病は治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とすることで大きな経済的負担を強います。
国が「難病の患者に対する医療等に関する法律」に定められる基準に基づいて医療費助成制度の対象としている難病を「指定難病」と呼びます。
医療費助成制度が受けられますので詳しくは難病情報センターホームページをご覧ください

さて頚椎後縦靭帯骨化症ですが首の背骨(頚椎)中の空間を脊柱管といいます。この中を通る神経が脳から繋がっている脊髄です
頚部の脊髄からは手や肩に向かう神経が枝分かれしており、神経根と呼ばれています。
各神経根は、比較的狭い骨の間隙(椎間孔と呼ばれます)を通って手や肩に向かっています。

頚部のところで脊髄を中に納めている骨は頚椎と呼ばれます。
頚椎は全部で7つあり、上から順に第一頚椎、第二頚椎と名付けられます。


これらの7つの骨は幾つかの靱帯組織により連結されています。
これらの靱帯のなかで、脊髄の腹側(前側)にあって頚椎を縦につないでいるものが、   後縦靱帯と呼ばれる靱帯です。

この靱帯は脊柱管を内側から補強する役割をしていますが靭帯が通常の何倍もの厚さになり、なおかつ骨の様に硬くなり(靱帯の骨化)徐々に脊髄を圧迫してくるのが後縦靭帯骨化症です。後縦靭帯の骨化は頚椎に生じることが多いです。

この病気は欧米人に比較して明らかに私たち日本人では高頻度に発生することが知られており 国民全体の2~5%も罹患していると言われています

原因

頚椎後縦靭帯骨化症では、なぜ骨化が起きるのかという点についてはまだ分かっていません
これまで関連性が指摘されているものとしては、遺伝子との関連性、性ホルモンの異常、カルシウム代謝異常、糖尿病、老化、局所ストレスなど数多くの要因があります。確定はしていないものの、いくつかの関連する可能性のある要因の候補が挙がっていますが具体的な原因の特定に至っていません

症状

  • 首や肩の症状:首が動かしにくい、肩こり
  • 手や腕の症状:痺れ痛み、手が使いにくい
  • 足の症状:しびれや脱力、歩きにくいなど
  • 自律神経症状:尿や便が出にくいといった膀胱直腸障害があります

通常ゆっくりと症状は進行します。転倒や頭をぶつけて急に手足が動かしにくくなったり他の症状が悪化したりします
箸を使う動作・ボタンをかける動作・ページをめくる動作など(巧緻運動)ができにくくなった場合かなり進行した状態
と言えます。

診断検査

上記の症状に加えてレントゲンで見つけることができます。レントゲンは骨化した部分に吸収されやすいためです。
そのため骨の詳細な状態を調べるには同様にして放射線を使用するCT検査が向いています。


また神経の状態を調べるにはやはりMRIが有用です
なお、頚椎症性脊髄症や頚椎椎間板ヘルニアなど他の病気の診断を受けた患者さんが、改めて画像検査を行なった結果、頚椎後縦靱帯骨化症であることが判明する場合もあります

予防と治療

脊髄の圧迫症状が進むと転びやすくなり、麻痺症状もでます。しかし症状の進み方には個人差があり症状の進行を予防することが重要です
症状がわずかに現れているような方に対しては、首を過度に反らすしせいよ避ける(上を向きすぎない)、転倒や頭頚部の打撲のような首に衝撃が加わるようなケガに十分注意すること(自動車のむち打ち、自転車やバイクの転倒、飲酒後の転倒など)
軽症のまま経過するタイプで病気の進行が認められないようであれば、基本的に経過観察を行います。
たとえば、わずかに手足のしびれがあっても日常生活を送る上では困っていないというようなケースでは、治療ではなく、日常生活を送りやすくするための指導をしながらの経過観察を行います。

経過観察を行なっていく中で、症状が強くではじめた場合まず保存的治療を行います

保存的治療

痛みが主症状の時は鎮痛剤を中心とした薬物療法に加え、物理療法(温熱、電気等)、運動療法を行います
現在根本的に後縦靱帯骨化症を治療する薬はなくあくまで症状に対する対症療法になります。

神経症状が伴わない初期の段階ではあんま、針灸、マッサージなどが有効なことがありますが、カイロプラクティスのような首を過度に反らすことは症状を悪化させますのでやめましょう。

さらに病状の進行が認められ症状が強く現れるようであれば、手術など積極的な治療を検討する必要があります。

手術療法

手術法としては頚部の前から行う方法(頚椎前方到達法)と、頚部の後ろから行う方法(頚椎後方到達法)があります。
頚椎後縦靱帯骨化症に対して、前方から手術するのか、後方から手術するのかの判断は、骨化病変の広がり、患者さんの年齢などを参考にして決定します。時には、前方・後方の手術を合わせて行うこともあります。
頚部の前方からの方がリスクが高いため後方から行うことが多いです。

頚椎前方到達法

全身麻酔下にて仰向けの状態で行います。
手術用の顕微鏡をみながら行います。
首の前から切開し頚椎の前には食道と気管があるためそれをよけて頚椎に到達し頚椎の一部を削りその奥の脊髄の方へと進み、脊髄を圧迫している骨化病巣を摘出します。
削った頚椎の部分には腰骨から骨を移植して埋めたり、スペーサーと呼ばれる人工物を埋め込んだりします。

頚椎後方到達法(頚部脊柱管拡大術)

全身麻酔下にてうつ伏せの状態で行います。
手術用の顕微鏡をみながら行います。
首の後ろ側から切開し椎弓に到達します。椎弓に縦の溝を作成し、正中部分で頚椎を縦割、もしくは片側から持ち上げて、椎弓を持ち上げる事で、脊柱管を拡大させます。
持ち上げた椎弓の間にはセラミックで出来た人工骨などを入れて固定します
頚部後縦靱帯骨化症では脊髄は前側から圧迫されるために、この術式では圧迫因子(骨化した靭帯)そのものを除去することは出来ませんが、脊髄の入っている空間(脊柱管と呼ばれる部分です)を拡大することにより、脊髄への圧迫を軽くすることを目的としています。

術後経過や合併症

手術後は、頚椎カラーを装着する事もありますが、術翌日には起床して歩行器を用いての歩行を開始します。
数日は頚部の痛みがありますが、早期離床が術後の回復を早めます
しかし、術前から歩行障害などが見られる場合には、術後のリハビリテーションが数週間から数ヶ月必要となります。
退院後は定期的に来院して頂き、神経症状の診察と頚椎X線撮影による頚椎のチェックを行います。

  • 入院:10-14日
  • 通院:3-12ヶ月程度
  • 社会復帰:術後1-2ヶ月程度

手術合併症

頻度は合併症によって異なりますが以下の手術合併症のリスクがあります

  • 硬膜損傷(髄液が漏れ出るため激しい頭痛をきたします)
  • 神経損傷
  • 術後血種による神経圧迫
  • 感染 等

頚椎後縦靭帯骨化症は国から難病指定されている疾患なだけあって治療の難易度が高い です
この病気の進み方は様々で、手術を行わない場合の正確な予測は出来ません。
軽い症状で長年経過することもあり得ますが、一方では経過中に神経症状が進行している場合には、それ以降も悪化することが多いと考えられています。また、転倒などを契機に、急激に神経症状が悪化する場合も有り得ます。
更に、軽度とは言えない神経症状が出現している場合には、この状態を放置しておくと、脊髄自体にもとに戻らない変化(いわゆる不可逆性変化)が生じてしまい、たとえ手術を受けても神経症状の回復が期待通りにならない場合も少なくありません。
そのため高い手術スキル多くの手術経験を持つ医師と良く相談の上、治療方針を納得して決定することをお勧めします。

出典:※日本整形外科学会「整形外科シリーズ 32」※日本脊髄脊椎学会「頚椎後縦靭帯骨化症」

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