CPAPを始めた方から、「毎晩何時間使えばよいのですか」「4時間使えないと、保険が使えなくなると聞いて不安です」というご質問をよくいただきます。
CPAPの使用時間の目安として、「4時間・70%」という言葉を目にすることがあります。ところが、この数字は、保険のルールとは別の話として使われることも多く、混同されがちです。
この記事では、2万症例以上の麻酔管理経験を持つ上野いびきクリニック院長 菅谷が、「4時間70%」の意味、2026年6月の改定で変わった点と誤解、研究でわかっている使用時間と効果の関係、使用時間が短いときの対処法を解説します。
結論:この記事の要点
「4時間・70%」は、CPAPを「きちんと使えている」と判断する国際的な目安(4時間以上を、夜の7割以上)です。「4時間使えないと保険適応外になる」というルールではありません。2026年6月の改定で、患者さんの使用時間に関して新しく設けられたのは、直近3か月のすべての月で、1日の平均使用時間が1時間未満の場合に、医療機関が指導管理料2を算定しないという取り扱いです。「4時間」という数字は、医療機関側の加算の要件に出てきます。効果の面では、長く使うほどよいと考えられていますが、4時間に届かなくても、使う意味はあります。
上野いびきクリニックでは、自宅で受けられる簡易検査と保険診療のPSG検査(精密検査)、保険診療でのCPAP治療と使用状況の確認に対応しています。入院は不要です。CPAPの使用時間や保険のルールが気になる方も、お気軽にご相談ください。
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【ご注意】いびき・無呼吸の治療には、検査が必要です
いびき無呼吸治療には検査が必要です。自由診療のみのクリニックや美容クリニックでのいびき治療では、検査を行えないことが多いです。ご注意ください。いびきの背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていると、検査をせずに治療を始めた場合、見逃されるおそれがあります。
院長監修記事
菅谷 和之
上野いびきクリニック 院長/麻酔科医
2万症例以上の全身麻酔経験を有する院長がいびき・睡眠時無呼吸の診療を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。【保険診療】上野いびきクリニック
本記事は院長 菅谷和之が、CPAPの使用時間の目安「4時間70%」の意味、2026年6月改定の保険ルールの誤解、使用時間が短いときの対処について解説しています。
上野いびきクリニックでは、簡易検査・PSG検査で無呼吸の有無と重症度を確認し、CPAP治療の導入から使用状況の確認、マスクや設定の調整まで、継続しやすい治療をご提案しています。
保険診療でしっかり検査・継続治療
- 簡易検査:自宅でできる無呼吸のスクリーニング
- PSG検査:脳波を含めて評価できる精密検査(自宅で実施)
- CPAP治療:保険適応基準を満たす無呼吸への標準治療
自由診療で根本改善・短期集中
- いびきレーザー治療:検査で単純性いびきと確認された方に
- 医療ダイエット:体重増加が要因の場合の選択肢としても
※CPAPの使用時間や保険の算定ルールは、病状や使用状況によって異なります。詳しくは診察時にご説明します。
📋 この記事でわかること
- CPAPの「4時間70%」とは?意味と由来
- 2026年6月改定で何が変わった?「4時間使えないと保険適応外」は誤解
- CPAPは何時間使えば効果がある?研究でわかっていること
- 使用時間が短いときの原因と対処法
- CPAPをやめる前に|使用データの見方と相談のタイミング
CPAPの「4時間70%」とは?意味と由来
「4時間70%」は、CPAPの「アドヒアランス(治療をきちんと続けられているか)」を判断するための目安です。意味は、1晩に4時間以上の使用を、夜の70%以上で達成していることです。たとえば30日間なら、21日以上、4時間以上使っている状態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 意味 | 1晩4時間以上の使用を、夜の70%以上で達成している |
| 米国メディケアでの定義 | 導入後90日のうちの連続30日間で、70%の夜に4時間以上使用していること |
| 由来 | 1990年代の初期の研究で、成人の平均使用時間が1晩約4.7時間だったことなどから、目安として定着したと整理されている |
| 位置づけ | 「治療を続けられているか」を評価するための基準。効果の上限や下限を示す境界線ではない |
2011年の系統的レビューでは、この「4時間・70%」という目安は、すべての健康効果や機能の改善を保証する基準とは限らないとも指摘されています。つまり、4時間は「最低限、達成してほしい目安」であって、「ここを下回ったら効果がない」という線ではありません。
2026年6月改定で何が変わった?「4時間使えないと保険適応外」は誤解
2026年6月の診療報酬改定で、CPAPに関するルールがいくつか変わりました。患者さんに関わる主なものは、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPAPの保険適用基準(AHI) | 簡易検査でAHI30以上(従来は40以上)、PSG検査でAHI15以上(従来は20以上)に緩和 |
| 使用時間が極端に短い場合 | 直近3か月のすべての月で、1日の平均使用時間が1時間未満の場合、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定しない(材料加算は算定できる) |
| 「4時間」が出てくる場面 | 医療機関が受ける「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」の要件。直近3か月で、1日4時間以上の使用が20日以上ある管理月の割合が4割以上、など |
「CPAPは4時間使えないと保険適応外」は誤解です
確認できた範囲では、2026年6月の改定で、患者さんが「1日4時間使えないと保険が使えなくなる」というルールは設けられていません。「4時間」は、医療機関側の加算の要件に出てくる数字です。患者さん側で新しく設けられたのは、3か月間ずっと平均1時間未満の場合の取り扱いです。3か月のうち1か月でも平均1時間以上あれば、通常どおり算定できます。また、CPAPを始めてから3か月以内の方は、この取り扱いの対象外です。
なお、実際の取り扱いは、病状や医療機関によって異なります。詳しくは主治医にご確認ください。制度の原文は、厚生労働省の告示・通知で確認できます。
この改定は、「たくさん使っているか」の量よりも、きちんと使えているか、使用データを見ながら管理できているかという「質」を重視する方向と整理されています。CPAPの保険基準の緩和については、CPAP保険適応基準緩和のセルフチェックとCPAPの基準変更で解説しています。また、動画でも解説しています(CPAPは4時間使えないと保険適応外?2026年6月改定の誤解を解説)。
CPAPは何時間使えば効果がある?研究でわかっていること
では、効果の面では、何時間使えばよいのでしょうか。研究でわかっていることを整理します。
| 研究 | わかっていること |
|---|---|
| 重症の睡眠時無呼吸の方を対象にした研究(2011年のレビューで紹介) | 日中の眠気(ESS)が正常範囲に戻る人の割合は、約4時間/夜で最も大きく増え、その先も使用時間とともに改善。客観的な眠気の検査では約6時間/夜、日常生活の機能の指標では約7.5時間/夜で、正常に戻る人の割合が最も大きくなった |
| 119人の無呼吸の方の研究(ランダム化試験の2次解析) | 「4時間以上を夜の70%以上」を満たした人は、眠気が正常に戻る見込みが最も高かった。一方、半数以上の方が、3か月の時点でこの基準を満たせていなかった。基準に届かなくても、一部の方には効果があると考えられた |
| 約18万人の使用データの分析(2022年・企業が関与した観察研究) | 使用時間が1晩2時間から利益が見られ始め、7時間まで、1時間増えるごとに、2年間で入院が5.0%、救急受診が4.4%減った。観察研究であり、因果関係までは示せない |
これらを合わせると、次のように整理できます。
- 4時間は「最低限の目安」であり、使用時間は長いほど望ましいと考えられる
- 症状(眠気)の改善は4時間前後から、生活機能の改善はさらに長い時間で大きくなる傾向がある
- 4時間に届かなくても、使う意味はある。ただし、届くほど、効果は得られやすい
CPAPの効果をしっかり得るには、眠っている間は、できるだけ長く使うことが大切です。昼寝のときも使うよう勧められることがあります。
使用時間が短いときの原因と対処法
使用時間が短くなる原因は、人によってさまざまです。多くは、工夫や調整で改善できるものです。
| 困りごと | よくある原因 | 対処・相談のポイント |
|---|---|---|
| 夜中に外してしまう | マスクの空気漏れ、圧が合わない、息苦しい | マスクの種類・サイズの見直し、圧の設定の確認 |
| 鼻や口が乾く・鼻が詰まる | 加湿が足りない、鼻の病気 | 加湿の設定の見直し、鼻の治療(鼻いびきの原因と治療法) |
| マスクが合わない・圧迫感 | 顔に合わない、閉塞感 | ピローマスクなど別の型(CPAPのピローマスクとAirFit N30) |
| 音が気になる | 機種の音、空気漏れの音 | 機種による音の違い(CPAP3機種の音比較) |
| お腹が張る・空気を飲み込む | 圧が高い、空気嚥下 | 圧の設定の見直し、医師に相談(CPAPと腹部膨満・呑気症) |
| 効果を感じない・やめたい | 使用時間が短い、設定が合っていない | 自己判断でやめず、使用データを見ながら相談(CPAPをやめる前に知りたい違い) |
「使用時間が短い=努力が足りない」ではありません。短い原因を一緒に探し、マスクや設定を調整して、続けやすくするのが治療の基本です。CPAPの使い方はCPAPの使い方もご覧ください。
CPAPをやめる前に|使用データの見方と相談のタイミング

CPAPは、使用時間や無呼吸の残り(AHI)、空気漏れなどを機器が記録しています。診察では、このデータを見ながら、使用状況を確認します。
| 確認するデータ | 見るポイント |
|---|---|
| 1日の平均使用時間 | 極端に短くないか。夜間に外していないか |
| 4時間以上使用した日数 | 「4時間70%」の目安に届いているか。届かない原因は何か |
| 治療中のAHI | 無呼吸がきちんと抑えられているか |
| 空気漏れ(リーク) | マスクが合っているか |
次のような場合は、早めにご相談ください。
- 毎晩、途中で外してしまう
- 使っても朝の眠気やだるさが取れない
- マスクや圧が苦痛で、やめたいと感じている
- 鼻づまりや口の乾きが強い
- 「使用時間が短いと保険が使えなくなる」と不安になっている
CPAPをやめる前に、まず相談してください。調整で、続けやすくなることが多くあります。また、そもそもCPAPが必要かどうかは、検査の結果で決まります。検査の詳細はいびき・無呼吸の検査をご覧ください。
上野いびきクリニックでできること
上野いびきクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門とする「睡眠障害内科」です。自宅でできる簡易検査と、保険診療のPSG検査(精密検査)で無呼吸の有無と重症度を確認し、保険診療のCPAP治療の導入から、使用状況の確認、マスクや設定の調整まで対応しています。
「4時間使えない」「使用時間が不安」「保険のルールがわからない」という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ|「4時間70%」は目安。保険適応外の線引きではない
「4時間・70%」は、CPAPを継続できているかを見る国際的な目安で、保険適応外になる基準ではありません。2026年6月の改定で、患者さん側に関わるのは、3か月すべての月で平均1時間未満の場合の取り扱いです。「4時間」という数字は、医療機関側の加算の要件に出てきます。
効果の面では、長く使うほど望ましく、4時間に届かなくても使う意味はあります。使用時間が短いときは、自己判断でやめず、マスクや設定を調整しながら、続けやすい形を一緒に探しましょう。
上野いびきクリニック院長の書籍「いびきを最新治療で治す」(Amazon 売れ筋ランキング 医学一般 1位 臨床内科 1位 家庭医学・健康 2位)でも詳しく解説しています
よくある質問
Q.自由診療のみのクリニックや美容クリニックで、いびきの治療を受けても大丈夫ですか?
いびき・無呼吸の治療には検査が必要です。自由診療のみのクリニックや美容クリニックでのいびき治療では、検査を行えないことが多いため、ご注意ください。いびきの背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていると、検査をせずに治療を始めた場合、見逃されるおそれがあります。まず、睡眠検査(簡易検査やPSG検査)を受けられる医療機関で、状態を確認することをおすすめします。
Q.CPAPの「4時間70%」とは、どういう意味ですか?
1晩に4時間以上の使用を、夜の70%以上で達成しているという意味で、CPAPをきちんと続けられているかを判断する国際的な目安です。たとえば30日間なら、21日以上、4時間以上使っている状態です。保険適応外になる基準ではありません。
Q.CPAPは4時間使えないと、保険適応外になりますか?
確認できた範囲では、そのようなルールは設けられていません。2026年6月の改定で、患者さん側に関わるのは、直近3か月のすべての月で1日の平均使用時間が1時間未満の場合に、医療機関が指導管理料2を算定しないという取り扱いです。「4時間」は、医療機関側の加算の要件に出てくる数字です。
Q.2026年6月のCPAPの改定で、何が変わりましたか?
CPAPの保険適用基準が、簡易検査でAHI30以上(従来は40以上)、PSG検査でAHI15以上(従来は20以上)に緩和されました。また、使用時間に関する取り扱いと、医療機関向けの充実管理体制加算が新設されました。
Q.CPAPは何時間使えば効果がありますか?
長く使うほど望ましいと考えられています。研究では、眠気の改善は約4時間前後から大きくなり、日常生活の機能の改善にはさらに長い時間が必要という報告があります。4時間に届かなくても、使う意味はあります。眠っている間は、できるだけ長く使うことが大切です。
Q.CPAPを始めたばかりで、使用時間が短いです。大丈夫ですか?
最初は慣れるまで時間がかかる方が多くいます。CPAPを始めて3か月以内の方は、1時間未満の取り扱いの対象外です。マスクや設定の調整で続けやすくなることが多いため、自己判断でやめず、ご相談ください。
Q.CPAPの使用時間は、どうやって確認しますか?
CPAP機器が、使用時間、無呼吸の残り(AHI)、空気漏れなどを記録しています。診察で、このデータを見ながら、使用状況を確認します。
上野いびきクリニックまでお気軽にご相談ください【当日予約可】
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記事監修者

上野いびきクリニック院長 菅谷 和之
2004年に藤田医科大学医学部を卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科医として勤務を開始。その後、全国の市民病院や自由診療クリニックで臨床経験を重ね、これまでに2万件以上の全身麻酔を担当。2020年には脊椎専門の「東京脊椎クリニック」を設立し、2025年からは上野いびきクリニックの院長として勤務
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